第1話 SSSスキルを引いた男
「――え?」
トラックのヘッドライトが視界いっぱいに広がる。
「ちょっ、待っ……!」
ドゴォン!!
人生は、あまりにもあっけなく終わった。
◇◇◇
気が付くと、真っ白な空間。
目の前には神々しい翼を生やした絶世の美女が浮かんでいた。
「ようこそ。あなたは事故で命を落としました」
「テンプレきたな……」
「転生特典として、好きなスキルを一つ授けます」
すると目の前に半透明の画面が現れる。
⸻
【剣聖】
【大賢者】
【全属性魔法】
【時空操作】
【無限収納】
【鑑定EX】
⸻
「おぉぉ!!」
完全に勝ち組じゃないか。
「さて、どれにしようかな……」
その瞬間。
女神の後ろから誰かが呼んだ。
「女神様ー! 至急こちらへ!」
「申し訳ありません。少しだけ席を外します」
「え? ちょっと待っ――」
画面だけ残して女神が消えた。
「まぁ、ゆっくり選ぶか……」
スクロールしていると、画面の一番下に見慣れない項目がある。
⸻
【SSSスキル おち◯ぽ砲】
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「なんだこれ」
説明を開こうとした、その時。
「うわっ!?」
指が滑った。
【取得しますか?】
「いや違っ――」
ピッ。
【取得しました】
「……」
「…………」
「終わったぁぁぁぁぁぁ!!」
女神が戻ってきた。
「お待たせしました。……あれ?」
「なんでそれ選んだんですか?」
「選んでねぇ!! 事故だ!!」
「一度取得したスキルは変更できません」
「はぁぁぁぁ!?」
女神は申し訳なさそうに目を逸らした。
「まぁ……SSSスキルですし」
「名前が終わってるだろ!!」
「では、良き異世界ライフを」
「待てぇぇぇぇぇ!!」
世界が真っ白に染まる。
そして俺は異世界へと落ちていった。
◇◇◇
ガシャン。
目を開くと、そこは石造りの牢屋だった。
「いてて……」
冷たい床。
鉄格子。
カビ臭い空気。
「なんで牢屋なんだよ!!」
頭を抱えていると、
「起きた?」
鈴のような声が聞こえた。
見ると隣の壁にもたれかかる、一人の少女。
銀色の長い髪。
青い瞳。
ぼろぼろの囚人服を着ていても隠しきれない美貌。
「私はミルク。」
「え?」
「あなたも捕まったの?」
「いや……たぶん転生してきた。」
「転生者?」
「たぶん。」
ミルクは少し笑った。
「変な人。」
「初対面で言われた。」
「でも悪い人じゃなさそう。」
その笑顔は、こんな場所には似合わないほど綺麗だった。
「私はここに一年閉じ込められてる。」
「一年!?」
「貴族に濡れ衣を着せられて。」
「異世界怖ぇ……」
俺はため息をついた。
「そうだ。」
ミルクが聞いてきた。
「あなたのスキルは?」
「……聞く?」
「うん。」
「笑うなよ?」
「笑わない。」
俺は深呼吸した。
「SSSスキル、おち◯ぽ砲。」
沈黙。
「……ぷっ。」
「笑ってるじゃねぇか!!」
「ご、ごめん……ふふっ。」
ミルクはお腹を抱えて笑っていた。
「そんなスキルあるんだ……」
「俺だって信じたくねぇよ!」
その瞬間。
頭の中に機械的な声が響いた。
【条件を満たしました】
【スキル『おち◯ぽ砲』起動可能】
「え?」
右手に、黒い砲身のような魔力が集まる。
「なんだこれ!?」
ズドォォォォン!!
放たれた衝撃波が牢屋の鉄格子を吹き飛ばした。
「……」
「……」
静寂。
「え?」
「壊れた。」
ミルクがぽかんとしている。
俺も口を開けたままだ。
「……最強じゃね?」
◇◇◇
警報が鳴り響く。
「脱獄だー!!」
兵士たちの怒号が響く。
「走るぞ!」
「うん!」
二人は牢屋を飛び出した。
迫る兵士。
飛んでくる矢。
「止まれ!!」
俺は振り返る。
「もう一発だ!」
ズドォォォォン!!
石壁が吹き飛び、兵士たちは砂煙に飲まれた。
「なにあの威力……」
ミルクが目を丸くする。
「名前はふざけてるけど、本当にSSSかもしれない。」
夜の森へ飛び込む二人。
ようやく追手を振り切ったところで、ミルクが言う。
「これからどうするの?」
「異世界といえば決まってる。」
俺は夜空を見上げる。
「まずはギルドだ。」
「冒険者になるの?」
「ああ。」
名前だけは最低。
だが、威力だけは本物のSSSスキルを武器に。
俺とミルクの異世界生活が、今始まった。
――第2話「冒険者ギルドでまさかのFランク!? そして受付嬢もドン引きのスキル鑑定」へ続く。




