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旅の拠点は亀の上!怪力少女と毒スキル持ち青年の魔物ごはん  作者: 時雨笠ミコト


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【26】マグマゴーレム遭遇


足元が消失したと同時に生まれた浮遊感。

 下は思ったより空間があるらしく、そのまま自由落下に移行した。

 恐怖で叫ぶのが一般的な人間の行動であろうが、こちとら精神的苦痛耐性持ちである。驚きが過ぎ去ってしまった以上、あれほどのリアクションはどうあがいても引き出せなかった。

 エレベーターが上下に動くときのような臓物が浮く感覚を味わいながらさてどうしようかと思っていると、下の方から声がかけられた。


「リツヤさん!!」

 

 見ると、アーネリカがすでに地面に立っている。

 そしてこちらを見上げながら、右に左にと小さく移動を繰り返していた。どうやら受け止めてくれるつもりらしい。

 

「なんでアーネリカの方が落ちるの速……あっ筋肉!?」

「壁を蹴って加速しただけです失礼な……じゃなくて!!」

「どうしたのアーネリ……」


 僕を受け止めると同時に、アーネリカは僕を抱きしめたまま全力で後方に飛び退いた。

 そして先程まで僕等がいた場所の岩肌が容赦なく粉砕される。

 砲弾か……想像しやすいものであればアイロンか筋トレ用のケトルベルを超高所からガラスに叩きつけたような有り様、と言ったほうがわかりやすいだろうか。

 

「わぉ」


 なお、そんな超重量による暴力的な破壊をもたらしたのは片手のひらサイズのペェちゃんである。

 

「……重量おかしくない?」

「Smallは外見を変えるだけなので」

「つまり?」

「重量はそのままです」

「シンプル凶器だね」


 僕らのそんな会話を知ってか知らずか、とりあえず『ダンジョンの中までついてくる』という目標を達成したペェちゃんは、衝撃に備えた殻にこもる体勢を解除し、ウッキウキで手足をパタパタさせている。

 そんな微笑ましい(?)光景をぼんやりと眺めながら……正確にはもう少し眺めていたかったが……渋々視界を横に平行移動させる。

 

「で――」


 アーネリカの抱擁から抜け出し、自分の足で大地に立つ。別に変な音も臭もしない。よかった、ゴム底の靴だが無事らしい。

 

「彼らは?」


 笑顔で指を指した方向にあるものをさっくりと解説させて頂こう。

 赤コーナー、浮遊しているダイヤ型の物体。数量は2。なんとなく意識を持っているのか、こちらが発する声に合わせてダイヤのつなぎ目部分が赤く発光している。

 青コーナー、スライムと岩石の複合体。全体的にマグママグマしたカラーリングであり、中央部分には明らかに弱点と思わしき物体が埋まっている。

 

「現実逃避ですか?」

「そうだね」

「マグマゴーレムwith取り巻きの皆さんです」

「45億?」

「なにがです?」

「ナンデモナイデス」


 通じなかった。まあそりゃそうである。

 というかなんで開幕一歩でお目当てのボスに遭遇しているのだろうか。ご都合主義でももう少し描写を挟むと思うのだけれど。

 

「結構浅い階層に居るん……」


 だね、と続けようとして、そして上を見上げて、空いていた口を慌てて閉じる。

 頭の上には、盛大に高く高く開いた大穴があった。

 

「浅いです?」

「浅……くないねぇ」


 これで浅いと言ったら大嘘である。ピノッキオですらもう少しマシな嘘をつくだろう。純然たる状況証拠。0点のテストを前に百点を取ったと言い張ると同義である。

 

「はい。最深部なので」

「へぇ最深……なんて!?」

「最深部です。ペェちゃんが重量でぶち抜きました」

「おぉう」


  つまり第一階層から最深部、まで……もっと言えば、部屋の配置的にちょうど真上にあった入口からボス部屋までを、真っ直ぐにぶち抜いてしまったわけである。

 結構しっかりした作りのダンジョンだったはずなのに。恐るべし、パンケーキミシミシガメの圧倒的重量。


「どうする……、って聞く前に突撃してるよね、そうだよね」

「ここなら思い切り戦えますので!!」


 さすがは戦闘の申し子、ハルバードが使えるほど広い空間と確認するやいなや、相手に向かって突撃していた。


「せぇいやぁ!!」


  振り抜かれたハルバードがマグマゴーレムの体皮にぶつかり金属音をたてる。

 いつもならそのまま押し込むアーネリカが、何故かその場で飛び退った。

 慌ててハルバードを確認した彼女は、冷や汗を垂らしながらそれを背中にしまってしまう。


「どうしたのアーネリカ」

「大変ですリツヤさん」


 暑さからか、あるいは冷や汗か、彼女は額を拭いながらこういった。

 

「……ハルバードが溶けます」


 …………やばいかもしれない。

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