10
「てわけで、亡くなったって聞いたのは次の日だけど、多分…」
「そっか、ごめん、踏み込んだこと聞いて」
シノアが痛みを堪えるような顔をして、謝る。
「全然大丈夫だよ。そんな顔しないで。もう私は受け入れたうえで、前を向いてるから。」
そういって笑いかける。
「そっか、リオラは強いなぁ。私は前世で祖父の火葬に立ち会って、それを思い出すだけで未だに涙が出るのに。」
「あ…私は亡くなった後は見てないよ」
「え?」
「お母さんの口から亡くなったことを聞いたリヒトが、そのあと感情の制御が出来なくて、魔力暴走したの。どうにかその場は収まったんだけど、亡骸を見たら私も暴走するかもしれないからって止められて。」
「それでも、確認はしておきたかったよね」
「そうなの。……大丈夫だって何度言ってもダメだの一点張り。……せめて遺骨だけでも拾わせてって言ってもつれていってさえくれなかったの」
「それって、もしかして……って、さすがにないか」
「いや」
今まで、ただただ亡くなったことを受け入れることだけに時間を費やしたけど。ちょっと不審点もある気がする。分かってる、期待してもそうじゃない可能性の方が高いことぐらい。でも、でも!
「もしかしたら、まだ確定はしていない…?」
シノアも頷く。
「もしかしたら本当にリオラの暴走を恐れた可能性も大いにある。でも、遺体をリオラがきちんと確認できていないなら、もしかする可能性もなくもない。」
「お母さんは亡くなったと口にはしたけれど、子供達に変に生きていると期待させてしまうと、本当に亡くなっていたときの落胆がより大きくなるし、特に私はその傾向が強い性格だから…」
「分かる、期待させておいてそうじゃなかった時って、衝撃大きい。しかも当時9歳とはいえ、リオラが暴走したら止めれる人なんて、それこそお父さんぐらいでしょ」
でもそうなると、お父さんは一体どういう状況に陥ったのだろうか。きっと限りなく死に近い状況、もしくは死体がまだ見つかっていないだけで死んでいないほうがおかしいという状況。
部屋の中に沈黙がおちる。
「あっ!!!!!」
ビクゥッッッ
いきなりのシノアの大声で体が震える
「びっくりした、どうしたの」
「私、思い出した」
シノアがスッキリしたような顔をする
「ずっと、試験勉強の時から気になっていたことがあったの。」
「そういえば、シノアは歴術とかどうやって学んだの?本とか新聞って、庶民にとっては高級品じゃない」
「リオラ、私だってギルドに登録している冒険者なの。てことはもちろん依頼を受けてユラの森に入り浸るわ。そうすると高確率で遭遇する人がいるでしょ」
「ユノスさんか!」
シノアが正解!と言わんばかりに笑みを深める
「私の腕を見込んでユノスさんが特待生制度のことを教えてくれたの。あと歴術についても教えてくれたの。そのときに感じてた違和感なんだけどね」
部屋中の空気がまた緊張したものに変わる
「ラブスクールの世界でさ、度々エピソードに出てくる事件があるはずなの。大商人ベルエダのエピソードでキーとなってる事件なんだけど、そんな事件が起こった痕跡が全く無いのよ」
「ちなみに、どんな事件?」
それは、とシノアが話を続けようとした瞬間
バンバンッ!
ビクゥッッッ
本日2回目のびっくり
今回はシノアも一緒に体が震えてた
「おい!昼飯できたってよ!早く来ないとお前たちのぶんねーぞ」
扉の向こうからはジークの声と
「そんなに強く叩かなくても聞こえるよ、ごめんびっくりさせちゃった?温かいうちに食べたほうが美味しいと思って呼びに来たの」
柔らかくて聞くものすべてを安心させることができそうなリーナの声を聞くと、私とシノアのお腹から同時に音がなる。シノアと顔を見合わせて笑って
「もう12時か。じゃあ話の続きはご飯の後で」
「賛成!」




