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「さて、じゃあ大事な話始めるよ」
一気に場が真剣なものになる。
「まずリオラは誰まで攻略した?」
「私は王子のレオナルド様だけだね、それもかなり前に」
「なるほどね、じゃあほとんどの設定を知らないのも無理はないか」
シノアが納得したようにうなずく
「まず、先にアルベルトの問題から考えよう。アルベルトがゲーム内でなら魔法騎士団副団長の息子だっていうことは知ってるよね?」
「それはもちろん」
「じゃあ、普通なら今頃…っていうかここ10年くらい誰が団長やってたと思う?」
「えー、全然分かんない……って言いたいところだけど。」
私、わりと勘は鋭いんだよね。
「もしかして、私のお父さん?」
シノアが、少し驚いた顔をした後にこっとする。
「正解。なるほどね、リオラ自身勘が鋭くて面倒事を回避できる能力があるから、鈍感な人得意じゃないんだ」
そういってさらっと何事もなかったかのようにシノアが話を進めようとする
「ちょ、え?何で分かったの、私言ったっけ?」
「いや、全然。でもほら、リオラって結構表に出るよね。後はまぁ私達似た者同士だからかな。リオラだって私が困ったりしてるときわかったでしょ」
「それは確かに」
それはそうと…と今度こそ話を進める。
「団長はリューク=エマ。ヒロインもといリオラのお父さん。リオラ、込み入ったこと聞いてごめん。お父さん亡くなったの?」
「いいよ、大丈夫。そう、6年前亡くなったの。末っ子のリージェが生まれた次の日…てことになってるけど、本当は多分当日だね。」
「どういうこと?」
6年前の、リージェが生まれた日を思い出す。
「お父さん、今日も見回り行くの?リージェ、生まれるよ??」
当時9歳の私は、息子が生まれる予定の日まで、強制でないと聞いていた見回りに行こうとするお父さんを足止めしていた。
「俺だって行きたくないよ。でもな、俺が行かなかったことで救えない命が生まれたら、俺はリージェに顔向けできなくなっちまう」
それでもふて腐れてる私の頭を撫でながら、お父さんは続ける。
「リージェは夜遅くに生まれる予定だろ?絶対昼前には帰ってくるよ。ご馳走もって!」
「うん、早く帰ってきてね」
私に向かってえらいなーと誉めてくれた後、お母さんが横になっているベッドまでいって、お母さんのてを握りながら話しかける。
「悪いリデアナ、すぐ戻る。行ってくるな。何かあったら連絡する。」
「えぇ、急がなくていいから気を付けてね。行ってらっしゃい。」
お父さんはお母さんのおでこにそっと口づけをして家を後にした。
全く、ラブラブすぎて見てるこっちが恥ずかしくなるぐらい。
「お父さんって、いつも連絡するとかいいながら、連絡してないよね」
「いいえ、してるのよ。テレパシーっていう魔法があるの。」
「テレパシー!私もしたい!」
そういうと少し真剣な顔をしたお母さんは私にいった。
「いい?リオラ。テレパシーはね、とても便利なものだけれど、危険なものでもあるの。直接相手の脳に魔法を届けて会話をするから、一度テレパシーの相手として認めてしまったら、悪用されたときに取り返しがつかなくなってしまうのよ。」
「うーん、よく分かんない」
「そうねー、説明も難しいのだけど…。テレパシーはね、自分が認めた人としか出来ないの。」
少し困った様子で、でも一生懸命説明しようとしてくれるお母さんに答えようと、私も真剣に聞く。
「一度ね、テレパシーの相手として認めてしまったら、自分の脳と、相手の脳に魔法が行き来できる道が作られてしまうの。」
「それで?」
「きちんと信頼できる人なら、その道をテレパシーで使う以外では使用しないのよ。でももし悪い人と道を繋げてしまったら、どうなると思う?」
「テレパシー以外の危険な魔法を、その道を使って私に届ける?」
「そう、例えば火魔法をその道を使って届けてきたら、届けられた方の脳から火が出たり、水魔法なら頭の中が水だらけになったり、つまり死んでしまうということよ。」
あまりのグロテスクな例に少し顔をしかめる。
「ごめんなさい、怖がらせたわね。でもね、だからこそ、軽々しくテレパシーを使ってはダメよ。お母さんとの約束。」
「うん、約束する!」
そういって、差し出された小指に自分の小指を重ねた。
その日の夕方
帰ってくると約束してくれたお父さんは、まだ帰ってきていなかった。あまりにも遅すぎるのでは?皆、そう思っていたけれど、口に出す人はいなかった。
夜になって、とうとうリージェが生まれた瞬間にも、お父さんは帰ってこなかった。
嫌な予感がした。
次の日の朝、話し声が聞こえて目を覚ました。お母さんが誰かと話しているようだった。
「お母さん…?どうしたの?」
話し声が止んで、相手の人が帰ったことを察した。お母さんの姿を見に行くと、涙を浮かべていた。
「リオラ…」
覚悟を決めた顔で、お母さんが私と目線を会わせて肩に手を置く。
「落ち着いて…聞いてね」
「な、なに」
「お父さんは、ユラの森のフリーエリアで子供を助けて…」
お母さんの言葉が詰まる。口にしたらきっと、現実を受け入れてしまわなければいけない気がしたのかもしれない。
私は違うことを考えていた。ユラの森は4つのエリアに別れている。居、食、住に必要な資材などが管理されている比較的安全が保証されているエリア3つとフリーエリア。フリーエリアは、そこに存在しているものは自由に持っていって良いけれども、その分管理されておらず危険しかないエリア。
お父さん、私とリヒトには絶対にフリーには行くなって言ってたのにさ。なに?自分は行ったんだ、それで?行って…その結果が………。
「お父さん、死んじゃったの?」
突然後ろから声がした。振り向くとリヒトが立っていた。お母さんは唇を噛み締めて、何かに耐えているようだった。
「ねぇ、死んでなんてないよね?だって、あの強いお父さんが!」
リヒトがここまで取り乱すのは、初めて見た。目に涙を浮かべて地団駄を踏む。
「生きてるって……言ってよ…。」
「お父さんは………亡くなったの………」
肩に置かれたお母さんの手が痛い。でも、それ以上に、お母さんの口からついに溢された言葉が痛すぎて、頭が真っ白になった。




