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ソウルダッシュ  作者: 転醒 廻実
スタートダッシュ ヌ  濡れぬ先こそ露をも厭え
63/80

第63話 3度目の正直

「参った」

「仕方無いんじゃねぇか?」

『最早、他に打つ手は無い』


 えー、報告。

 このルルイエ内で、一部を除く全エリアを捜索した結果、奥地の支配個体がいるエリアに不明個体が潜伏してる事が判明した。


 支配個体の推定ランクはS+3、現状の最高ランクか。俺達二人が協力してどうにかこうにか殺せる程度と言った所だな。S以上ともなると神とか強大な異形レベルになるんだよなぁ、鵺もアレでS+だったわけだし。不用意に相手したくはないんだよな。って言うかここの支配個体っつったら我が神じゃん。嫌だなぁ相手するの。相手核爆発喰らっても放射線帯びて復活するし、俺の好きな神格だし。


「複雑だなぁ……」

「グダグダ言ってないで、ほら」

『神など、初めの頃にも殺しただろう?』

「そりゃそうなんだが……うぅーあぁー……行きむぁす」


 しょうがねぇかぁ。


 と言うわけで最奥地。

 おぉ偉大なるクトゥルフよ、その巨体をこの目に焼き付ける日が来ようとは。タップダンスを披露させて頂きたいが、どうやらそんな場合では無かった様子。


「お前らの仕業だったのか」


 目の前には、クトゥルフを模した模様の前で寄り合いながら立つ足立姉妹。なるほど、確かにルルイエなのも納得行った。しかしコイツらには世界間移動する能力なんてあったか? 精神はともかく魂は強いだろうから、渡る事自体は出来るだろうが。


「待っていたよ、ご主人」

「ご主人、試練の時です」

「は?」


 試練? んだそりゃ。


「ってかお前ら血の無駄遣いし過ぎだ、死ぬぞ」

「この身は、大いなるクトゥルフの為に……」

「貴方が、我が神の認めるお方か……試……す」

「っとぉ」


 倒れかけたんで二人を抱き止めてっと。


「ったく馬鹿な事しやがって。おいジェイク、俺の生命力をエネルギーに返還しろ。コイツらに入れる」

『了解した。十秒待て』

「はぁ……ナチュラルに狂ってんじゃねぇよ本当に……」

「おい神鵺不味い!」

「ぐうぇっ!?」


 また首ひっ掴みやがって。

 足立姉妹離しちまったらどうすんだ馬鹿。

 しかし、ナイスと言おう。


「クトゥルフ様、そりゃ無いぜ……」

「おいおいおいおい……」


 俺らのいた場所が、跡形も無く消えてやがる。クトゥルフが手を降り下ろしただけだ。遂に目覚めちまったんだ、大いなる司祭が。


「に、逃げるぞ神鵺!」

「賛同!」

『作戦目標変更、クトゥルフからの逃亡』


 とにかく逃げろ!!

 ありゃダメだ、一発アウトのオワタ式だ!!


 マジモンだあのクトゥルフ様は!



 * * *



「何とか狂った角度の中に隠れられたが……」

「時間の問題だろうな。その内巨大化してルルイエごと潰すかも知れん」

「初遭遇の強敵か……私らでも勝てるか分からないぞ、アレは」

「とりま、コイツらの蘇生が先だな」


 あぁあぁ顔真っ青じゃねぇかお前ら。

 どんだけ血流したの。


『エネルギー変換は済んでいる』

「OK、んぐっ……」


 口の中を一部噛み切る。

 痛い。


「神鵺、何を?」

「緊急事態だ、許せ。んっ」

「……ッ!?」


 口移しで、俺の生命力を血として。まずは彩月に注ぎ込む。《放射》能力って割と万能だよな。


「……ぁ……ぅぁ……」 (プルプル)


 そうだ呑め。血は命の水だ。

 流石俺の血、もう顔色戻ってる。


「っぷはっ……んむっ」


 日和にも血を与えて、これでOK。


「ふぅ……ひとまず俺のガレージ隔離世に逃げ込んで……環奈?」


 涙目でプルプル震えとる。

 あぁ、そういや状態異常入ってたな。忘れてたわ。


 可愛い。

 っじゃなくて。


「何してんだこの馬鹿ぁああ!!!」

「止めろ大声出すなあぁあぁあぁあぁ揺らすな」

「注射とか他にも方法あったろテメェ!! 私の前で! 何してくれてんだチクショウ!!」


 ダメだ周りの事が見えとらん。

 いや俺も環奈に気が回らなかったが。


「すまんって気付かれるから声小さく」

「~~……ッ!! この……この狼……ッ!!」


 思わぬ大ダメージを与えてしまった。

 やっちまったな。


「んっ……あれ、生きてる……?」

「……みたいだね」


 お、足立姉妹ナイス。

 指輪を掲げて、おぉゲート開いた。

 自分で開くのは初めてだな。楽しい。


「とにかくだ、まずは俺のガレージ隔離世に逃げるぞ」

「とりあえず了解っ」

「……ご主人……有り難う御座います」

「後でお仕置きな」

「……」

「環奈お前もぷくれてないで、ほれ」

「……んっ」


 ちょっと素直になっておる。

 鵺騒動で反省したのかね。



 * * *



 とりま、ウルネラとアルバロの保管してあるガレージ型隔離世へ避難した。


 長方体の空間に、特設の台座が一つ。

 寄り添う様に眠るウルネラとアルバロの姿が、俺達の目に飛び込んだ。


「  」 (グチャッ)


 そして俺の目玉が飛び出た。

 漫画だと線が多くなって変顔になってる事間違い無しだぞこれ。

 白い衣を纏った可愛い少女と、黒い衣を纏った美麗な男子が、仲良く眠っておったのやぞ。


『どうやら、進化していたようだな』

んなアホな(キュポンッ)


 俺達、インフレ具合壊れてません?

 含生兵器がまさか人の姿まで取るようになるとは……。

 いや、俺だって正確には機械生命体だし有り得る事なのか。


「んっ……あれ、ユーザー?」

「……此方に来たか」

「お前ら自分の状態に違和感ねぇのかよ」

「レイドウィークからだよこれ」

「……もう慣れた」

「 マ ジ カ ヨ 」


 今後の戦い方にも幅が出そうだな。


「ところでユーザー、もう”思い出した”?」

「あ?」

「……今は、3回目」

「何だ3回目って」


 3回目?

 思い出したって何、何かを2度見てその度に忘れてるってか?

 その気になれば記憶なんて幾らでも掘り返せるが……。


「……もしかして、この試練って……」

「ご主人が何かを思い出す事が試練?」

「んだそりゃ、俺は……!?」

「……?」


 待て。

 環奈、お前それ。

 その指輪。


「…………」

「……”理解”はしたみたいだね」

「……試練は、未だ続いてる」


 環奈の金緑変石アレキサンドライトが……半分以上、蔦状の装飾で覆われている……。

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