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ソウルダッシュ  作者: 転醒 廻実
スタートダッシュ ヘ 弁慶の泣き所
37/80

第37話 世界は死に、そして生まれ変わる

 異星人vs地球人と言う構図が出来上がってしまったこの世界。


 人々は地下へ集まり、即興音楽を奏でる為の準備に取り掛かった。


 それまでの間、俺はミュージカ共の操縦する船を片っ端からブチ壊して回ってるんだが、如何せん数が多過ぎる。ジェイクもいない今じゃ遷音速トランソニックでの戦闘が妥当だし、千を超える巨大空挺相手に立ち回れなんて無理だろおい。


『神鵺! 用意出来たぞ!』

『世界中のスピーカー、コッチで貰うね!』

「おっしゃぁ!! 派手に奏でろ!!!」

『全てを破壊して!』

『終わりの先へ!』

『『お前らとの付き合いも終わりだ!! ミュージカ!!!』』


 世界中に設置されたスピーカーが、限界を超えた超大の爆音を響かせる。

 神となった人々が、この星の怒りを侵略者達インベーダーに伝える。


「グゥウ……!!?」


 これが……これが世界の怒り。

 俺が見た事も無い壮絶な怒りが、恐怖を押しのけて、圧倒的な力で敵を退けて行く。

 見ろ、船が押されてる。せいぜいパンチで三隻同時に吹き飛ばすしか無かったアレが、魂から発される剥き出しの感情に巻かれて、飛んで、大爆発を起こしてやがる。


 奴らの悲鳴が聞こえる。


 ミュージカ共が想定外の力に襲われて、パニックを起こしてるんだ。


「ハハッ……ッ……グッ……」


 あ、ダメだ。

 流石の俺も、中の機械にまでダメージ負ったら……。


「これが……世界の、怒り……凄まじい……な……  」


 中枢損傷……意識が、保てない……。


 頭が……痛ぇ……。






…………

………

……





 物悲しいギターの音色と、控えめなドラムの鼓動、ピアノとヴァイオリンの音。

 おい何を悲しんでるんだお前ら。


 俺を地面に置きっぱにして、勝手に悲劇ムードかましてんじゃねぇぞコラ。


「ッあぁいってぇ……」

「神鵺!」

「神鵺ぁ!! 一発殴らせろ!!」

「ブォエッ!?」

「文哉何やってん!!?」


 文哉テメェ、気絶から目覚めた途端腹殴ったな。

 今まで人殴った事無いから加減出来ないのは分かるがなぁ。


「ガハッ!?」

「お前のせいで世界は滅茶苦茶にされた! 今までこの世界で行われて来た、様々な事が、お前のせいで無駄になった!」

「ぁあー……そりゃ」

「でもそのお陰で!! ミュージカから解放された!! 消える恐怖に怯えなくて済むようになった!!」

「文哉……」

「色々恥ずかしい思いしたけど! 最後は僕ら素直になれた!」

「……」

「だから! 感謝もしてるんだ!」

「……圧制して来た奴の言う事じゃねぇな」

「ああ、僕は許されない事をした。何も言えた義理じゃないけど、でも言いたいんだよ! 分かってくれよ!」

「唾飛ぶから離れて言え」


 とりあえず一旦落ち付いて。


「この世界は三度死んだ。一度はミュージカが、二度目に僕らが殺した」

「あら、そう言っちゃう」

「でも、見てご覧よ。アスファルトから草が伸びて来てるだろう?」

「そうだな」

「この世界は、一度死んだぐらいじゃくたばらなかったんだ。君が生き返らせてくれたんだよ」

「つまり?」

「この世界は、真に音楽の世界として生まれ変わったんだ。転生だよ。ここは、音楽文明確立世界=メロディアスに進化した」

「そりゃ、良かったな」

「……もうちょっと喜ぶかとも思ったけど、まぁ良いか。犠牲は多かったけど、これで僕らは、もう一度やり直せるんだ」

「……まぁ何だ、感謝してるってんなら一つ頼みたいんだがよ」

「何だ」

「異世界に行く方法って知らね?」


 まぁ、結果はお察しの通りで。


「元の世界に戻れないとかワロ」

「力になれず……」

「申し訳無い……」


 改めて通信してみたが、今度はアッチの映像すら見えない状態と来た。

 俺を召喚したヤツは誰なんだ。ソイツが見つかりでもすれば良いんだろうが、そもこの世界じゃ魔術の類は認識されていないそうだし。


「……指輪はちゃんとある……戻る方法はあるはずだ」


 向こうがどうなってるかより、どうにか戻る方法を探る他あるまいな。

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