第37話 世界は死に、そして生まれ変わる
異星人vs地球人と言う構図が出来上がってしまったこの世界。
人々は地下へ集まり、即興音楽を奏でる為の準備に取り掛かった。
それまでの間、俺はミュージカ共の操縦する船を片っ端からブチ壊して回ってるんだが、如何せん数が多過ぎる。ジェイクもいない今じゃ遷音速での戦闘が妥当だし、千を超える巨大空挺相手に立ち回れなんて無理だろおい。
『神鵺! 用意出来たぞ!』
『世界中のスピーカー、コッチで貰うね!』
「おっしゃぁ!! 派手に奏でろ!!!」
『全てを破壊して!』
『終わりの先へ!』
『『お前らとの付き合いも終わりだ!! ミュージカ!!!』』
世界中に設置されたスピーカーが、限界を超えた超大の爆音を響かせる。
神となった人々が、この星の怒りを侵略者達に伝える。
「グゥウ……!!?」
これが……これが世界の怒り。
俺が見た事も無い壮絶な怒りが、恐怖を押しのけて、圧倒的な力で敵を退けて行く。
見ろ、船が押されてる。せいぜいパンチで三隻同時に吹き飛ばすしか無かったアレが、魂から発される剥き出しの感情に巻かれて、飛んで、大爆発を起こしてやがる。
奴らの悲鳴が聞こえる。
ミュージカ共が想定外の力に襲われて、パニックを起こしてるんだ。
「ハハッ……ッ……グッ……」
あ、ダメだ。
流石の俺も、中の機械にまでダメージ負ったら……。
「これが……世界の、怒り……凄まじい……な…… 」
中枢損傷……意識が、保てない……。
頭が……痛ぇ……。
…………
………
……
…
物悲しいギターの音色と、控えめなドラムの鼓動、ピアノとヴァイオリンの音。
おい何を悲しんでるんだお前ら。
俺を地面に置きっぱにして、勝手に悲劇ムードかましてんじゃねぇぞコラ。
「ッあぁいってぇ……」
「神鵺!」
「神鵺ぁ!! 一発殴らせろ!!」
「ブォエッ!?」
「文哉何やってん!!?」
文哉テメェ、気絶から目覚めた途端腹殴ったな。
今まで人殴った事無いから加減出来ないのは分かるがなぁ。
「ガハッ!?」
「お前のせいで世界は滅茶苦茶にされた! 今までこの世界で行われて来た、様々な事が、お前のせいで無駄になった!」
「ぁあー……そりゃ」
「でもそのお陰で!! ミュージカから解放された!! 消える恐怖に怯えなくて済むようになった!!」
「文哉……」
「色々恥ずかしい思いしたけど! 最後は僕ら素直になれた!」
「……」
「だから! 感謝もしてるんだ!」
「……圧制して来た奴の言う事じゃねぇな」
「ああ、僕は許されない事をした。何も言えた義理じゃないけど、でも言いたいんだよ! 分かってくれよ!」
「唾飛ぶから離れて言え」
とりあえず一旦落ち付いて。
「この世界は三度死んだ。一度はミュージカが、二度目に僕らが殺した」
「あら、そう言っちゃう」
「でも、見てご覧よ。アスファルトから草が伸びて来てるだろう?」
「そうだな」
「この世界は、一度死んだぐらいじゃくたばらなかったんだ。君が生き返らせてくれたんだよ」
「つまり?」
「この世界は、真に音楽の世界として生まれ変わったんだ。転生だよ。ここは、音楽文明確立世界=メロディアスに進化した」
「そりゃ、良かったな」
「……もうちょっと喜ぶかとも思ったけど、まぁ良いか。犠牲は多かったけど、これで僕らは、もう一度やり直せるんだ」
「……まぁ何だ、感謝してるってんなら一つ頼みたいんだがよ」
「何だ」
「異世界に行く方法って知らね?」
まぁ、結果はお察しの通りで。
「元の世界に戻れないとかワロ」
「力になれず……」
「申し訳無い……」
改めて通信してみたが、今度はアッチの映像すら見えない状態と来た。
俺を召喚したヤツは誰なんだ。ソイツが見つかりでもすれば良いんだろうが、そもこの世界じゃ魔術の類は認識されていないそうだし。
「……指輪はちゃんとある……戻る方法はあるはずだ」
向こうがどうなってるかより、どうにか戻る方法を探る他あるまいな。




