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灰色と虹  作者: あやね
第一章 赤い鳥の目覚め

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8/8

08 任務開始

 初めての任務。

 オレ達は集合地点のノクト港まで、護送車で移動している。


 今回の“特殊”任務というものが、どういうものかわからない。

 リゼ先生からはとりあえず護衛すればオッケーみたいなざっくりしたことしか聞かされなかった。

 ちょっと……ざっくりしすぎやしませんかね?

 あとなんか隠してる風なんだよなー?


 先生は今回オレの同行についてかなり揉めたらしいが、なんとか無理やり納得させたとのこと。

 なんでそうまでして…?あとその”無理やり”ってのが気になる。

 だってチームメンバーからの視線が痛いんだもん。

 先生より少し背が高く青い髪の女性のシアナ、先生より小柄な赤っぽい髪のエリは遠巻きにオレをチラチラ見てくる。

 もっとガッツリ見つめても良いんですよ?


「おいおい!なーんでガキがまぎれこんでんだぁ?遊びじゃねーんだぞ!ケガしない内に帰りな!」


 などとめちゃくちゃありがちなセリフを吐いたこの短髪を逆立てた男はノラクトという名前らしい。

 アルドルよりも一回り大きい体格、セリフからも分かるいかにもパワー重視タイプみたいな男だ。


「ノラクト…。そんなに騒ぐな。ガキ一人くらい居ても任務になんの支障もない…。」


 ディアンとかいう物静かそうな長髪の男が、切れ長の鋭い目でノラクトへ返す。

 察したぜ。コイツら、絶対わざとやってる。

 だから敢えてこう言ってやろう。


「心配には及ばねーよ。オレはアンタらより強えからな!」


 どうだ100点の回答だろ?とオレは不敵な笑みを浮かべた。

 そしてノラクト、ディアンと睨み合う。

 …が、堪えきれずに笑ってしまった。


「だーっはっは!お前なかなかノリいい奴だな!」

 ノラクトはそう言ってオレの頭をぐしゃぐしゃと撫でた。

 ちょ、髪型崩れるからヤメロ。


「リゼがあれだけ言って連れてきた人物だ。弱いわけがない。期待してるよ、レイ。」


 さっきのは演技だったようで優しい目をしている。

 思わずときめいた。

 ディアン、あんたすごい良い奴オーラ出てる。


 そしてノラクトはオレの肩に手を回し、声のトーンを落とし質問してきた。


「ところでレイ。お前リゼとはどういう関係なんだ?まさか…だよな?リゼはお前みたいなガキに渡さねーぞ。」


「リゼちゃんはオレのもんだ。アンタみたいなデカ男には似合わねーよ。」


 と答えた瞬間、頭にガン!と衝撃が落ちる。

 リゼ先生がオレの頭を警杖で叩いたようだ。

 そして冷たい目でノラクトを一瞥し、車内の離れた位置に移動した。


「あの冷たい感じがまた良いんだよなぁ」

 ノラクトは呟いた。

 きもちわる。


「きもちわる。」

 やべ。ついつい口に出してしまった。


 そしてオレとノラクトが小突きあって、それを止めるディアン。

 そんなして騒いでいる様子をシアナ、エリが迷惑そうな顔で見ている。

 うるさくしてすみません。


 そうこうしてる内に護送車が止まった。

 どうやら集合地点に着いたようだ。


 ___________________


 ノクト港。

 普段は漁業関係者の船がたくさんあり、市場もある活気ある町だ。

 今日は国家重要機密に関わる任務のため、港には漁船はなく市場も閉じている。

 活気とは程遠い静けさを放っている。


 護送車から降りた6人は護衛対象を待つ。

 すると漁港に似つかわしくない1隻の軍艦が停まった。

 そこから現れたのは護衛の軍人数名、囲まれるようにして政府の要人と思しき男性と、10歳くらいの人形のような美しさのある少女。男性の方は重厚感のあるケースを抱えている。

 メガリア合衆国の人間のような顔立ちをしている。


 一行は護送車に乗り込む。

 6人の団員達は護送車の上に乗り、もし急襲者が現れれば即座に対処できるように配備した。


 ____________________


 護衛対象が現れ、チームの緊張度が一気に増した。

 さっきまでふざけていた空気は微塵もない。

 すげぇ。これがプロか。

 シアナとエリは遊撃手でありながら全体の動きを把握し、指示を出すブレーン的な役割。

 ノラクトとディアンは対象者をとにかく守る盾のような役割。

 リゼ先生はとにかく敵を殲滅する役割。

 あのー…オレは…?と聞いたら「自由に戦いなさい」だって。

 だから、ざっくりしすぎなんだって。

 でも学生が変にチームプレー出来るわけもないし、そりゃそうか。


 しかし誰が何を狙うんだろうな?

 機密情報は探っちゃいけないって聞いたけど、そう言われると気になっちゃうよね。


 ノクト港から出発し、目的地まであと半分をきったあたり。


 ―◼◼◼◼◼◼◼◼◼◼!!!!◼◼◼◼◼!!!―


 今までにないレベルの緊急信号。なんかやばい。


「みんな!敵だ!なんか来るぞ!」


 思わずオレは叫んだ。

 頭の中がザラザラと舐められるような感覚がした。

 初めて感じる不気味な感覚に、背筋が冷たくなる。


 皆即座にフォーメーションをとる。

 しかし敵の姿は見えない。


「おい!レイ!お前ふざけてんのか!?任務ナメるなよ!!」

 ノラクトの怒号が響く。


 いやそんなわけが無い。絶対に何かがくる。音が消えるような違和感。

 そしてオレの体はワケもわからないままシアナの前へ素早く移動し、長警杖で防御の体制をとる。

 それと同時にギイィ!!と警杖越しの身体に衝撃が走る。


「へぇ…。スゴいねキミ。」


 そこには鼻と口を隠した独特な戦闘服?に身を包んだ女性が立っていた。


「絶対に殺ったと思ったのに…。」


 そう言うと、すぅ…と姿を消した。

 いや何か妙な感覚。さっきと同じく音が消える感覚。”まだ”いる”!


 次の瞬間にはどこに潜んでいたのか、8名ほどの戦闘服に身を包んだ兵士達が現れた。

 リゼ先生は兵士達が現れた瞬間に切りかかっていた。

 そして皆に指示を出す。

「ノラクト!ディアン!護衛対象が無事かどうか確認をお願いします!無事ならそのまま傷一つつけないよう”盾”となってください!」


「シアナは狙撃で戦力を削ってください!エリは全体を見て総指揮を!わたしは雑魚共を排除します!」


「レイは…、好きに暴れなさい!」

 だからオレにだけテキトーすぎるよリゼちゃん…。


 しかしまぁ、好きにって言われても選択肢は一つしかなさそうだ。

 というのもさっきの女はオレを狙っている。

 なんとなくだが、間違いなくそんな気がする。


「…よし。やるか。」






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