20 流れ星
フェニックス本部の治療院にてノラクトは治療を受けているようだ。
オレ達は説教の後にノラクトの様子を見に行くことにした。
治療院の療養室にて休んでいるらしい。
薬品の匂いが漂う施設の中の一室のドアを開ける。
そこにはベッドの上で身体を起こし黄昏れている男がいた。
逆立った赤い髪に夕日がかげって燃えてるように見える。
影がかかって表情はよく分からないけど、なんだか悲しそうだ。
「ノラクト。もう大丈夫なのか…?」
声をかけるとノラクトはオレ達に気付いて明るい表情に切り替えた。
「みんな!見舞いに来てくれたのか!ありがとな!この通り元気だぞ!」
無理してんだろうな。
「無理をしなくて良いですよ。あの時ノラクトが足止め役をしてくれていたから、この結果があるのです。しっかり休んでくださいね。」
リゼ先生に褒められて顔が赤くなって少しデレデレしているノラクト。
きもちわる。
「「「きもちわる。」」」
あ、やべ。また口に出ちゃった!と思ったら、エリとシアナさんも同じ感想だったようで合唱してしまった。
「…傷が治ったら覚えとけよ!てめぇら!」
そしてみんなで笑いあって騒いでたら、療養室を見回っている治療師の人に怒られた。
「…まぁ、今回色々あったけどよ。回復したらまたこのメンバーで任務したいな。」
「そうだね。特殊任務じゃなければ、学生の随行も問題ないし。何よりレイ君には私の威厳を見せつけなきゃだし!」
「というかレイは戦闘能力だけで言えば団員の中でもトップクラスなんだから、飛び級させちゃえばいいのに。ねぇ…リゼ?」
「戦闘能力だけだったら……なのですよ。学業の部分と生意気な態度で総合的にマイナス評価なので、飛び級は難しいかと思います…。」
「ねぇオレ目の前にいるんだけど?そんなド直球にディスるの止めて欲しいんですけど。」
ノラクトとエリが盛大に吹き出して笑う。
しかしノラクトは骨が数カ所折れてるみたいで苦痛に顔を歪ませながらも笑っている。
忙しいヤツだな。
そして再び治療師の人に怒られたオレ達は療養室を後にする。
その際、ノラクトに呼び止められた。
「レイ。本当にありがとう。今回の任務での一番の収穫はお前に会えたことかもな!」
ノラクトは少し照れくさいような、寂しそうな表情を浮かべる。
「…気持ち悪いこと言うなって。まぁ退院したら飯食いに行こうぜ。ノラクトの奢りで!」
べつに照れてなんか無いんだからね!
「しょうがねぇな。いいぜ。腹いっぱい食わせてやるよ。」
マジで!?やったぜ!アルドルも誘おうかな、なんかノラクトに雰囲気似てるし気が合いそうだしな。
「んじゃ、またな!」
治療院を出たら外はもう暗かった。空には星が輝いている。橙色の流れ星が一瞬通り過ぎてキレイだった。
特殊任務後の報告と説教も終わったし、明日からはまた平和なアカデミー生活だ。分からないことを考えすぎてもしょうがないしな。とりあえず今は目の前のことをこなすか。
そうやってモヤモヤした心の中の闇へ踏ん切りをつけた。




