01 プロローグ
「この世界も駄目なのか…」
光を失い虚ろな目をした男は呟いた。
もうこれで世界を跨ぐのは何度目だろうか。
それを数える事すら無意味。
私の目的は一体何だったか?
果たして彼女に再び会えるのだろうか?
会えたとしてどうするのだ?
扉の向こうに広がるのは、また同じ絶望だろう。
彼女を探し続けた旅路は、いつしか苦行に変わっていた。
積み重なった絶望は、男の心を静かに腐らせていった。
もう、これ以上は要らない。
であればどうする?
目的を失った心には、静かに黒いものが入り込んでいく。
いずれ最愛の恋人の命を奪った世界への復讐の炎が男の目には宿るようになる。
「私の目的は………」
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「なんかなぁー。なーんか、よく分かんないが頭の中がざわざわするー」
頭の中を覗かれてるような、触られているような奇妙な感覚がした。
このざわつきは、いつも”何かが起こる前”にくる。
「お?またか?世界がレイを呼んでんじゃねーの?」
「そーやってバカにしてさぁ。なんかむず痒くて気持ち悪い この感覚わかんねーかなー?」
「それよりさ!さっきの店員さん可愛くなかった?」
あ、こいつスルーしたな。
でも分かる。あの雑貨屋の店員さんはたしかに可愛かった。
可愛さとキレイさを兼ね備えた女性だった。
「わかるぜ!オレ思わず声かけちゃったもん。でもさ…ガキには興味ないって感じのことをやんわり言われたよ。まぁその優しさがまた良いよなーあははー」
夕焼けが街を薄く染めていた。
たまにいいことあったり、悪いこともあるけどこんな日が続くんだろうな。 この時は漠然とそんなことを考えていたんだと思う。 自分は何者とか、生きてる意味とか、神とか世界とか考えることはあっても、 腹が減ったら霧のように散っていくどうでもいいことだし… …まぁいっか。地獄だろうが天国だろうがやる事は変わらないしな。




