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翔太の遊撃手  作者: A.S
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遊撃手

(いよいよか)と俺は、ネクタイを正し入団会見に臨む。

開けると、眩しいフラッシュとテレビで見ていた光景が目の前に広がる。

「続いては今季セグワーズドラフト6位入団した、東雲 翔太(しののめ しょうた)さんです。」

「東雲さんのポジションは?」「ショートです。」

「高卒ルーキとしての入団ですが、今の気持ちなどはどうですか?」

「はい。甲子園で一緒に戦った後輩や同期たちもですけど、

 支えてきてくれた家族や、監督には感謝してます。」

「では、意気込みなどはどうでしょう?」

「ゴールデングローブと、最多安打を取りたいです。」

「まだ、新人でゴールデングローブ賞と最多安打を同時に取った人はいませんが...」

「できないからいないんじゃないです。できてないからいないんです。絶対に取ります。」

と新聞記者の質問を答えて入団会見が終わる。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

数日後

「まじか...荒れてるなネット」「まぁな。甲子園ベスト8が何言ってんだって話もあるだろうし。」

「そういえば、お前は、ドラフト5位でジェネローグに行くんだっけ?」

と俺は、甲子園で共に戦った親友の大木に声をかける。

「まぁな。と言ってもあそこ投手陣が強いからな〜入り込めるかわからん。で本当に狙うのか?会見の()()

「大口叩いて出来なかったらやばいだろ。」

「なるほど狙う気..かぁ。じゃあ久しぶりにやろうぜ。アイス野球」

「負けた方おごりな」 と監督が開けてくれた練習用のコートに向かう。


「ふぅぅぅぅう」息を深く吸い込む。

塁もファール線もフェンスも全部見えるこのバッターボックスに帰ってきた。

左のバッターボックスに立ち、バットを軽〜く回す。「準備OK」と大木に伝える。

「うんじゃプレイボー」と大木が声を響かせる。

大木が、右手でロジンに軽く触れ、オーバースローに構える。

そして腕を振りかざしそこから(ボール)が放られる。

振る暇もなく、俺のインコースを切り裂く。「ストライクでいいよね。今の」

「これがドラフト5位かよ...ってか速くね甲子園の時よりも」

「7kぐらい速くなったよ。あくまで平均の話だケド」と当たり前のように言う。

(振り切れないっか...バット短く持つか)

また大木が立て続けにストレートを投げる。

短く持ったバットを振るが...当たらず、(ボール) は下へ落ちていく。

「!....フォーク」俺が声を震わせながら言う。

(しかも、ベースの上で落ちた。本来プロはフォークなどの対処をチェックゾーンを作り見極める。

 フォークなどの場合そのチェックゾーンで落ちることがほとんどだからだ。

 なのにチェックゾーンよりも奥、何ならベースの上で落ちたからストライクなのにボール...)

「だが、最多安打取ろうとしてんだ...こんぐらい打たねぇと」「いいね」

大木が振りかざす。(際どいが、ボールだ)俺は振らない選択肢をとった。

「まっ、今のはボールかな」と大木自身もそう感じているようだ。

大木が渾身の一球を繰り出す。(ストレートか...フォークか、はたまた他の球種か)

だが、ほんの一瞬だけ横回転独特の縫い目に見えた。(習得している横系の変化は、スクリューだけ)

俺の読み通り外側から内側へと鋭くボールが食い込んでくる。

そこにバットを振り翳す...が「重っ」と思わず呟いてしまう。

(手首を殺される。回転数が前よりも上がってる。このまんまじゃボテボテのごろだな)

俺は、バットを回しボールの回転の威力を殺して打つ...が、三塁方向の厳しいところに行ってしまう。

(普通の人なら絶対に間に合w)「そこまで」と監督の声が聞こえる。

「面白いところなのに何で止めるんですか」「そうですよアイス奢らせようとしてたのに」

「大木と東雲!全くまたアイスかけて野球やっとたのか。でもプロ入りのご褒美だ、奢ってやる。」

(さっすがー監督)「「あざっす」」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

いつの間にか夕焼けになった空を見上げながら食べるアイスは、何だかいつもよりも美味しく感じた。

次回「キャンプイン」


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