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20年間忘れられなかった人と、もう一度恋をする  作者: 沈丁花
第26章

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静かな朝

北海道の朝は、まだ冬の匂いが残っていた。

店に入ると、結衣が明るく挨拶をする。


「おはようございます、大和さん」


その笑顔はまっすぐで、温かい。

けれど、大和の胸は不思議と動かなかった。


「おはよう」


短く返すと、結衣は少しだけ寂しそうに笑った。

その表情に気づきながらも、踏み込むことはしない。


(……悪い子じゃないんだけどな)


結衣の優しさは心地よい。

でも、そこに“恋”の形は見えなかった。


誰かと一緒にいる未来を想像してみる。

結衣となら、穏やかに過ごせるかもしれない。


けれど——

胸の奥が、静かに拒む。


(俺は……一人でいい)


そう思うたび、

自分でも説明できない“空白”が、

ふっと胸の奥に影を落とした。

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