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理性を守るための選択
葵もまた、自分の心の揺れに気づいていた。
大和の笑顔が胸をざわつかせる。
10年前の痛みが、薄く疼く。
(……ダメだ。こんなの)
俊介は優しい。
寄り添ってくれる。
その優しさに甘えれば、きっと落ち着ける。
だからこそ——
“形”が必要だと思った。
入籍という現実があれば、
揺れは理性に押し戻される。
迷いは消える。
そう信じたかった。
俊介となら、穏やかな未来が築ける。
それは間違いじゃない。
ただ、胸の奥のざわつきだけが、
静かに、確かに、存在していた。
(……大丈夫。私は間違ってない)
自分に言い聞かせるように、
葵は静かに決意を固めていった。




