前へ目次 次へ 9/224 恋心 駅に着くと、大和は少し距離を取って言った。 「何かあったら、すぐ言ってくれ。俺は……君を守りたいから」 “君を守りたい” その言葉が、葵の胸に深く刺さる。 (だめだよ……) 既婚者に恋をしてはいけない。 それは葵が誰よりも強く信じていること。 でも、心は言うことを聞かなかった。 (好きだ……) その夜、布団に入っても眠れなかった。 大和の声、大和の横顔、大和の歩幅。 すべてが頭から離れない。 枕を抱きしめながら、 葵は静かに涙を流した。