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恋心
駅に着くと、大和は少し距離を取って言った。
「何かあったら、すぐ言ってくれ。俺は……君を守りたいから」
“君を守りたい”
その言葉が、葵の胸に深く刺さる。
(だめだよ……)
既婚者に恋をしてはいけない。
それは葵が誰よりも強く信じていること。
でも、心は言うことを聞かなかった。
(好きだ……)
その夜、布団に入っても眠れなかった。
大和の声、大和の横顔、大和の歩幅。
すべてが頭から離れない。
枕を抱きしめながら、
葵は静かに涙を流した。
越えてはいけないと知っている。
自分で引いたはずの境界線。
それなのに——
心だけが、その線をそっと越えていく。




