前へ目次 次へ 75/224 決意の余韻 夜が明けた。 病院の窓から差し込む淡い光が、 葵の頬を静かに照らす。 母はまだ眠っている。 呼吸は弱いけれど、昨夜より少しだけ穏やかだった。 俊介は椅子に座ったまま、 葵の手を握ったままあ眠っていた。 その姿を見て、 胸の奥がじんわりと温かくなる。 (私は……この人と生きていくって決めたんだ) 葵はそっと俊介の手を握り返す。 その指先に触れた瞬間、 決意が静かに胸の奥に戻ってきた。 でも同時に、 言葉にできない小さな痛みが 心のどこかでまだ息をしていた。