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俊介の本音
深夜の廊下。
俊介は、壁にもたれて座る葵を見つけた。
「葵……」
声をかけると、
葵はゆっくり顔を上げた。
「どうしたらいいのか……
分からないの……」
俊介はそっと葵の手を握る。
その手は冷たく、震えていた。
「俺は……葵のそばにいたい。
でも……葵は俺を見てないよな」
葵の呼吸が止まる。
「違う……そんなつもりじゃ……」
「分かってる。
でも……俺は、誰かの“代わり”でいいって
思ってたんだよ」
俊介の声が震えた。
「だけど……もう限界なんだ」
葵は何も言えなかった。
言葉を探しても、
どれも嘘になりそうで。
廊下の静けさが、
二人の距離をさらに広げていく。




