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20年間忘れられなかった人と、もう一度恋をする  作者: 柚原 澄香


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伝えたい背中を押すこと

閉店後の店内で、

大和は葵からのDMを何度も読み返していた。


---

教えてくれてありがとうございます。

多分いちばんに見ました。

とても素敵な雰囲気ですね。

ここまで作り上げるの、大変でしたよね。

まだまだやることがたくさんあるとは思いますけど……応援してます。

---


読み終えるたびに、

胸の奥がじんわり温かくなる。


(……なんだよ、これ)


久しぶりだった。

“誰かに見てもらえること”が、

こんなにも心地いいなんて。


反応が返ってくるのが嬉しい。

伝えたことに意味があった気がする。

言葉を届けるって、悪くない。


そんな感情、

いつから忘れていたんだろう。


言わなくてもいい。

言わないほうが楽。

そう思っていた。


でも──

及川さんはあのとき、

「教えてくれたら嬉しかったと思います」

と静かに言ってくれた。


その言葉が、

半年以上経った今になって、

ようやく胸の奥で形になった。


(……伝えるって、大事なんだな)


無意識だった。

意識して“応えた”わけじゃない。

ただ、今回は自然と知らせたくなった。


そして、

その結果がこれだ。


応援してます。


その一言が、

大和の背中をそっと押した。


(……頑張れるな)


照明の調整も、

メニューの最終試作も、

予約制の細かい仕組みも、

まだまだやることは山ほどある。


でも、

“誰かが見てくれている”

そう思えるだけで、

不思議と前に進める気がした。


そして気づく。


(……まさに、これだな)


「言葉を伝えたい背中を押す」

灯-OTARU-のコンセプト。


大和は、この心地よい感情を噛み締めていた。

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