前に進める気持ち
昼過ぎ。
大和は作業台に置いたスマホを手に取った。
本社からのメール通知が来ている。
件名:
「灯 -Hokkaido- 新コンセプト案について(回答)」
大和は息を整え、開封した。
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──夜のコンセプトは案②で進めてほしい。
完全予約制の日を“灯-Hokkaido-の特徴”として打ち出したい。
文章は淡々としているのに、
胸の奥がじんわりと温かくなる。
(……よかった。通ったか)
案①も悪くない。
でも、案②のほうが“灯の進化”になる気がしていた。
本社も同じ方向を見てくれた。
それが、素直に嬉しかった。
(これで……夜のページも固まるな)
白紙だったページが、
ようやく形になっていく。
大和は深く息を吐いた。
肩の力が少し抜ける。
(……少しは、落ち着いたか)
企画が固まると、
胸のざわつきも不思議と静まっていく。
仕事に追われていたせいで、
ずっと気持ちが乱れていたのかもしれない。
スマホを置こうとして──
ふと、葵の顔が浮かんだ。
葵からのDMは、
まだ来ていない。
でも、
さっきまでのような焦りはなかった。
(……連絡してみるか)
気持ちが落ち着いた今なら、
変に構えずに言葉を選べる気がした。
大和はスマホを手に取り、
画面を開いた。
入力欄に指を置く。
ほんの少しだけ、
胸が温かくなる。
(……よし)
大和は静かに文字を打ち始めた。




