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20年間忘れられなかった人と、もう一度恋をする  作者: 柚原 澄香


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心が動く日

「気をつけて帰ってください」


そう告げると、

結衣は深く頭を下げ、

雪の中へと歩き出した。


扉が閉まると、

店内は再び静けさを取り戻す。


大和はしばらく、

雪の中に消えていく結衣の背中を思い浮かべていた。


美咲の面影。

葵の記憶の気配。

そのどちらも、

長い冬の中で凍りついていたはずの心を、

ほんの少しだけ揺らしていた。


(……不思議な人だな)


胸の奥に、

消えそうで消えない小さな灯りがともる。


その灯りが、

20年後の再会へとつながる最初の微かな兆しだとは、

大和はまだ知らなかった。

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