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心が動く日
「気をつけて帰ってください」
そう告げると、
結衣は深く頭を下げ、
雪の中へと歩き出した。
扉が閉まると、
店内は再び静けさを取り戻す。
大和はしばらく、
雪の中に消えていく結衣の背中を思い浮かべていた。
美咲の面影。
葵の記憶の気配。
そのどちらも、
長い冬の中で凍りついていたはずの心を、
ほんの少しだけ揺らしていた。
(……不思議な人だな)
胸の奥に、
消えそうで消えない小さな灯りがともる。
その灯りが、
20年後の再会へとつながる最初の微かな兆しだとは、
大和はまだ知らなかった。




