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言葉の代わりに出す一杯
翌日、会社に着くと、
女子たちがまた盛り上がっていた。
「昨日、夜も行ってきたよ!」
「カクテルめっちゃ綺麗だった〜!」
「ねぇ知ってる? 夜のカクテル全部“意味”あるんだって」
「そうそう! なんか“言葉の代わりに出す一杯”みたいなコンセプトらしいよ」
「大人っぽくて最高だった〜」
葵は笑って聞いていた。
でも、胸の奥が静かに揺れる。
(……意味のあるカクテル)
(店長が、そんなものを)
同僚たちは楽しそうに続ける。
「大和さん、夜はもっと雰囲気あるよね」
「分かる、あの落ち着いた感じね」
「葵ちゃんも行きなよ〜! 夜の方が絶対いいよ!」
葵は笑って頷いた。
「……そうだね。行けたら」
でも、
胸の奥では別の言葉が浮かんでいた。
(……1人で行ってみたい)




