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交わらない2人
東京の病院。
葵は母の手を握りながら、
治療の効果を主治医から聞いていた。
母は笑っていたが、
その笑顔の奥にある不安を、葵は痛いほど感じていた。
(お母さん……
絶対に、絶対に治そうね)
葵は必死だった。
そのとき、
大和が東京を離れたことを知る術はなかった。
2人の人生は、
完全に別の方向へ進み始めていた。
ーー
北海道へ向かう列車の中で、
大和は雪景色を見つめていた。
東京の病院で、
葵は母の手を握りしめていた。
2人は遠く離れた場所で、
同じ痛みを抱えながら、
まったく違う道を歩き始めていた。
その道が再び交わるのは、
このときから20年後のことだった。




