前へ目次 次へ PR 42/615 雪の降る場所へ③ 深夜。 大和はクローゼットを開け、 スーツケースを引き出した。 美咲の服が並ぶクローゼットの前で、 しばらく動けなかった。 (ごめんな…… ここにいると、前に進めない) 大和は美咲の写真を手に取った。 雪の中で笑っている写真。 その笑顔は、今も温かかった。 「……帰るよ。 少しだけ、休ませてくれ」 写真立てを胸に抱きしめ、 大和は静かに涙を流した。 もっと2人で過ごしたかった。 もっと2人で笑い合いたかった。 もっと…もっと…… でも、もうそれは叶わない。