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雪の降る場所へ④
数日後。
大和は東京駅のホームに立っていた。
スーツケースひとつ。
手には、美咲の写真。
アナウンスが響き、
人々のざわめきが遠くへ流れていく。
その喧騒の中で、
大和だけがぽつんと取り残されたようだった。
(東京は……もう、俺の帰る場所じゃない)
そう思った瞬間、
胸の奥に沈んでいた重さが、
ほんの少しだけほどけた。
列車が動き出す。
窓の外の景色がゆっくりと後ろへ流れていく。
大和は写真を胸に抱き、
静かに目を閉じた。
(美咲……
俺は、ちゃんと生きていくよ)
その小さなつぶやきは、
雪の降る故郷へ向かうための、
痛みと決意の入り混じった一歩だった。




