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20年間忘れられなかった人と、もう一度恋をする  作者: 柚原 澄香


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言わないでおくと決めた

帰宅すると、葵がいつも通りに微笑んだ。

その笑顔が、どこか遠く感じた。


居酒屋「(あかり)」に行ったことは言わない。

代わりに、柔らかく探る。


「そういえばさ……大学のとき、どんな人たちと働いてたの?」


葵のまつげがわずかに揺れた。

胸の奥がざわつく。


続ける。


「……今も、その人たちとやり取りしてるの?」


その瞬間、葵の身体が小さく固まった。

息が止まり、視線が泳ぐ。


“言い当てられた”ような反応。

俊介はその一瞬を見逃さない。


葵は答えられない。

俊介の胸に、不安が深く沈む。

葵の胸には、罪悪感が静かに広がる。


そして——

居酒屋「(あかり)」に行ったことを言わないまま、夜が終わった。


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