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20年間忘れられなかった人と、もう一度恋をする  作者: 沈丁花
第1章

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越えてはいけないライン

大和が立ち上がったとき、

ふと、彼の左手に光る細い指輪が目に入った。


――あ、この人は結婚しているんだ。


その瞬間、

葵の心に一本の線が引かれた。


越えてはいけない線。

踏み込んではいけない距離。


大和の優しさは、

店長としてのもの。

自分に向けられた特別ではない。


そう言い聞かせるほどに、

胸の奥が静かに揺れた。


それでも、

その線の向こう側から届く大和の優しさは、

葵の心をそっと温め続けた。


大人だな、きっとなんでもできるんだろうな。

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