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20年間忘れられなかった人と、もう一度恋をする  作者: 沈丁花
第8章

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新しい恋をしようとして

居酒屋「(あかり)」を辞めた翌週。

葵は大学のキャンパスを歩きながら、

胸の奥にぽっかりと穴が空いたような感覚を抱えていた。


(これでよかったんだよね)


自分に言い聞かせるように、何度もつぶやいた。


大和の妻が病気だと知ったあの日から、

葵は自分の恋を“封印”するしかなかった。


――不倫なんて絶対にしない。

――病気の奥さんから夫を奪うなんて、もっと絶対にしない。


その信念は、葵の中で揺るぎなかった。


だからこそ、辞めるしかなかった。


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