2/233
出会いの灯り
ある夜。
閉店後の片付けでレジ締めの数字が合わず、
葵は半泣きで電卓を叩いていた。
「及川さん、ちょっと見せて」
大和が隣にしゃがみ込み、
彼女の手元を覗き込む。
指先が触れた瞬間、
葵の心臓が跳ねた。
「ここだよ。ひとつ入力がずれてる」
「……すみません」
「謝らなくていい。気づけたから大丈夫」
その言葉は、
失敗ばかりの自分を責めていた葵の胸に
じんわりと染み込んでいった。
大和の声は、
叱るでも慰めるでもなく、
ただ寄り添うように優しかった。
その夜、葵は初めて
「ここで頑張りたい」と思った。




