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20年間忘れられなかった人と、もう一度恋をする  作者: 沈丁花
第6章

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知らされた現実②

大和の妻は病気と闘っている。

そんな人から大和を奪うなんて、絶対にしてはいけない。

不倫なんて、絶対にしてはいけない。


葵の中の倫理観が、強く、強く叫んだ。


(私は……この人を好きになってはいけなかった)


涙がこぼれそうになり、葵は慌てて視線を落とした。


「……店長。奥さんのこと、どうか……支えてあげてください」


その言葉を言うのに、胸が裂けるほど痛かった。


大和は、少し驚いたように葵を見つめ、

やがて静かに微笑んだ。


「もちろんだ。ありがとう、及川さん」


その笑顔は、葵の心を優しく、しかし残酷に締めつけた。


(私はこの人を好きだけど……

この人の幸せを壊すようなことは、絶対にしない)


その夜、葵は帰り道で泣いた。

恋を自覚したばかりなのに、

その恋を自分の手で封じなければならない現実が、

あまりにも苦しかった。


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