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20年間忘れられなかった人と、もう一度恋をする  作者: 沈丁花
第5章

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さよならの理由②

「大学の授業が増えて……通うのも大変で……」


言葉は震えていた。

大和はしばらく黙って葵を見つめ、

やがて静かにうなずいた。


「そうか。無理はよくないからな。……寂しくなるな」


その“寂しくなる”という言葉が、

葵の胸を強く締めつけた。


(そんなふうに言わないで……)


涙がこぼれそうになるのを、必死でこらえる。


「今まで、本当にお世話になりました」


深く頭を下げると、

大和は少しだけ距離を詰めて、優しく言った。


「及川さん。怖い思いもしたし、辛いこともあったよな。

でも、よく頑張った。……君は強いよ」


その言葉に、葵の心が揺れた。


(強くなんかない。

あなたがいたから、頑張れただけなのに)


言えない言葉が胸の奥で渦巻く。


大和は、そっと微笑んだ。

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