13/257
さよならの理由②
「大学の授業が増えて……通うのも大変で……」
言葉は震えていた。
大和はしばらく黙って葵を見つめ、
やがて静かにうなずいた。
「そうか。無理はよくないからな。……寂しくなるな」
その“寂しくなる”という言葉が、
葵の胸を強く締めつけた。
(そんなふうに言わないで……)
涙がこぼれそうになるのを、必死でこらえる。
「今まで、本当にお世話になりました」
深く頭を下げると、
大和は少しだけ距離を詰めて、優しく言った。
「及川さん。怖い思いもしたし、辛いこともあったよな。
でも、よく頑張った。……君は強いよ」
その言葉に、葵の心が揺れた。
(強くなんかない。
あなたがいたから、頑張れただけなのに)
言えない言葉が胸の奥で渦巻く。
大和は、そっと微笑んだ。




