第七話 「赤い光」
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買い物事件から数日後。
母に振り回されてくたくたになったシグルドだったが、やはり女の子であるナルディアには楽しかったようで疲れた様子を見せなかった。
そんなナルディアだが、引っ込み思案な性格の為、いつもシグルドの後ろについて周って過ごしていた。
幼過ぎた為覚えていないナルディアに、『シグルド様はまだ生後8カ月の赤ん坊の頃から、魔法で畑を耕す程優秀なのですよ』と皆が嬉しそうに話すのを聞かされて育った事もあり、シグルドを自慢の兄だと思っていた。
シグルドにとってもナルディアは、前世の妹、澄の小さい頃を思い出す。
いつも後ろについて周り自分のする事を真似する姿に、日に日に可愛さが募る。まだ魔力を使えないナルディアが、かくれんぼ事件の時のようにシグルドの出来る事を真似出来ない事で、泣き出す事もしばしばあるのだが、それも愛嬌のうちだ。
「ナディもね、お兄ちゃんみたいにやりたいんだー。んー、なんでまだ出来ないのかなー?」
侍女リンリンが、2人を風呂に入れてくれている。泡まみれの身体を魔法石に魔力を流し器用にシャワーで洗い流しているシグルドに、珍しく不満を漏らすナルディア。
「ナディお嬢様は、同じ年のお子様方と比べても優秀ですわ。シグお坊ちゃまが凄すぎるのですよ。ご安心なさって下さいませ」
そう言われても、周りにはシグルドしかいないナルディアには、まったく納得がいかないのだろう。
最近口癖になりつつある「んー」という悩みを含ませた返事をするナルディアの頭を撫でるシグルド。
こんなチートの兄がいたら不安になるよな。双子なのに。ナディは何も悪くないんだし、俺が精一杯フォローしないと。
「大丈夫だよナディ、ナディもすぐに魔力を使えるようになるから!なっ!」
「んー、もうすぐっていつー??ナディ的には5歳になったらお兄ちゃんと同じくらい魔法が使えて、一緒に畑を耕す予定だったのに」
今度はナルディアの身体に着いた泡を洗い流すリンリンが諭すように応えてあげる。
「もうそろそろですよ!皆5歳前後には魔力を使える様になりますので、安心して大丈夫ですよ!さぁさ!湯船に浸かりましょうね!今日は何のお話が宜しいですか?」
「わぁい、じゃあねー、精霊のキラキラのお話ー」
「はいはい!ナルディア様は、本当に種降祭がお好きですね」
ありがとう、リンリン!ナルディアの興味を逸らしてくれて!
目配せをして、感謝を告げると、それににこりと笑みで返すリンリン。
リンリンは、シグルドやナルディアが長く湯に浸かれるように温まった浴室の壁に出来た水滴で、絵を描き物語を話してくれる。
いつものように器用に指で壁に絵を描き、リンリンは物語を話し始めた。
「いつの頃からか、この世界には子供達が大人になった日に神様からの贈り物が降ってきます」
「神様からのね、贈り物はね、『祝福』ってゆーんだよ」
嬉しそうにニコニコとシグルドに知識を披露するナルディアと、「へー、ナディは物知りだなー」と返してあげているシグルドを、愛おしそうな目で見つめるリンリン。
「夜空一面に広がる満天の星のように、キラキラとしたそれは、色取り取りの光る種でした。御祝いに送られた祝福の証なのです」
「ほらねー、祝福ー」と、にこーっと笑うナルディアに「凄いなー」と、頷いて返すシグルド。
「いつかその種は花開き、特別な力を授けてくれます。それはあなただけにしかない、特別な力です。でも、何をすれば花が開くのかは分かりません。きっと良い子にしていたら、特別な花が開くでしょう」
「あついーッ!!」
まだ話が終わっていないが、ガバッと湯船から立ち上がり、風呂から出るナルディア。だが、今日はいつもより長い方だ。
「僕も出るよ。リンリンの絵はとっても綺麗だよね!物語に合わせて、絵もちょっとづつ変わって違う絵になるし!いつも、ありがとう」
「ありがとうー、リンリン」
湯冷めをしない様に、双子の身体を大きな布で包み、器用に同時に吹いてくれる。ふかふかの布が好きなナルディアは、きゃっきゃと嬉しそうである。
「まぁまぁ!なんて嬉しい事を!」
「リンリンすきー!」
そう言って、抱き着くナルディアと一緒に、まとめてシグルドも抱き締めるリンリン。
「私も大好きですよー!!」
無償の愛をふんだんに注いでくれるリンリンと、きゃっきゃと喜ぶナルディア、そして照れながらも嬉しそうに笑うシグルド。
そんな穏やかな日常は長く続く事は無かった。
「今日はね、お兄ちゃんと一緒に、寝てもいーい?」
いつもは別々の部屋で寝ている2人だが、珍しくシグルドの寝台に現れたナルディア。
ナルディアだけは、リンリンに寝かし付けて貰っている筈だが。さては、リンリンが先に寝たのかもしれない。
「良いよ、おいでナディ」
ふふっ。ナディと寝るのは1年ぶりくらいか?眠るまではリンリンがいるから良いが、夜中に目が覚めて俺がいない事に気付いて、よくわんわん泣いていたな。俺も泣き声で目が覚めて、様子を見に行ったら凄い勢いで抱き着いて来てたっけ。いつかは俺離れするのかと思うと今から既に寂しくなるな。
そんな娘を嫁にやる父親のような心境になるシグルドの右隣で、安心したのか寝息をたて始めたナルディア。
「ふふっ、おやすみ」
すると、カチャっと静かに扉の開く音がして振り向くと、ナルディアを探しに来たリンリンと目が合った。シグルドのいつもの『大丈夫』を受け取ったリンリンはペコッとお辞儀をし、静かに部屋から出ようとした。
だが突然、穏やかな日常は終わりを迎える。
赤く発光した何かがナルディアの頭上に降って来たのだ!!
なっ!?何だ!?
赤い光はナルディアの顔の上で止まり浮いている。
「きゃっ!!何事です!?こ、これって、もしかして…?でも、なぜナルディア様の頭上に?」
「ん、んー?なぁに?赤いキラキラ?…わぁ!すごくきれい!」
「危ない!!ナディ!!触るな!離れるんだ!!」
突然目の前に浮かぶ光に当然目を覚ましたナルディアは、寝惚けた眼を擦りながら目の前の光に見惚れ触れようと手を伸ばす。
「ナディ!!」
シグルドの制止も届かず触れてしまった赤い光は、ナルディアの手に吸い込まれて消えてしまった。
混乱しながらも、リンリンも慌てて駆け寄り各々が手探りにナルディアの無事を確認するが、別段異常は見付からない。
ナルディア自身もまだ意識が完全に覚醒しないまま、何が起きたのか分からずにキョトンとしている。
何だったんだ…!?異常は無いようだけど…念の為、もう一度脈を測るか…
ドクンッ
ドクンッ
ドッッッググンッッッッ!!!
!!?
手首から感じる異常な脈拍の後、突然、ナルディアに激痛が走った!!!
「う゛ッッッ!!!イだッ!!!いタい゛ッッッ!!い゛たいーッッ!!!」
聞いた事もない大きな奇声にも似た声で暴れるように苦しみ始めたのだ。
「ナディーッ!!?大丈夫かッ!?ナディーッ!どこが痛いんだ!?」
「なっ、ナディお嬢様ーッ!?」
「ウぅ゛ッッッッ!!イ゛たいッッッ!!アつい゛よーッッッッ!!」
ギュッと左胸を押さえて苦しむナルディアを見て青褪めるリンリン。
「まっ、まさか!心臓ですか!?誰か!ナディお嬢様が!薬師をお呼びして!」
異常事態に気付き、すぐさま大勢の侍女が駆け寄り、バタバタと蜘蛛の子を散らすが如く駆けずり回る。事情を知った両親と共に、あっと言う間に薬師が駆け付けたが、ただただナルディアの手を握りながら待つしか無いシグルドにとって、それは長い長い時間に思えてならなかった。
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