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【5000PV感謝】いつも不遇のオレンジ色と土属性を押し付けられての貴族転生だけど、いずれ魔王を倒す〜しかも一緒に転生した子は異世界で魔法少女を望む〜  作者: 赤嶺 利空
第三章 「出会い編」

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第一話 「変化とデビュー」

本日より新章開始です!

第三章は、仲間との出会い、成長、恋愛がテーマとなってます!







 



 10歳を迎えたシグルド。




 青の国を出てから、聖獣ルフは、リオーネ城で一緒に暮らしている。





 初めて狩猟をしてからのこの5年間、シグルドは射撃の練習に1番力を入れていた。




 もちろん、以前までの畑仕事やトレーニングはやっている前提である。



 シグルドの射撃の腕は、日に日に伸びている。



 今ではわざわざ照準を合わせ無くても、速射で半分はピンポイントを狙える程の実力だ。



 そして、ルフとの組手の稽古も忘れない。相手が狼であっても、組み手は組み手、お互い魔法なし武器なしの真剣勝負だ。





「シグ様。奥様がお呼びでございます」



 最近の恒例行事になった、すっかり傷も回復した護衛執事ハンスを介した母アンナからの招集だ。



 ハンスは、どうやらルフとも仲が良いらしく、空き時間にはルフも一緒にハンスに指導という名の実践訓練を受ける事もしばしば。




 侍女リンリンは、シグルドの提案により、2年前から新事業の娯楽であるサンドアートを手伝う為にリオーネの屋敷から出て行った。




 別れ際には、涙を沢山流し、今生の別れと言わんばかりに長い間抱き締められた。




 シグルドも沢山泣いた。




 その功を奏し、今春、娯楽施設は大変な賑わいを見せている。







 しかし、そんな日常を送るシグルドは、最近アンナに悩まされている。




 支度を済ませ、中庭に着くと、アンナは今日も優雅にお茶会中である。



 淑女の友人達への挨拶を済ませ、自慢の息子の話を始める。




 もちろシグルドの同席が当たり前である為、『紳士の微笑という名の、営業スマイルも板に付いたものだ』そう心の中で悪態をつきながら、本日の顔触れを伺うと、ふと初めて見る顔に目が止まる。



 アンナと同じ年頃だろう女性で、黒髪を綺麗に結い上げ、扇子で口元を隠しながら、切れ長の灰金色の瞳で俺を観察していた。



 目が合うと、ニコッと目が無くなるのが印象的だ。




 黒髪だ!久しぶりに見たな。だけど、こうも黒髪を見慣れないと、黒髪ってやっぱり暗い印象を受けるな。でも、優しそうな人だ。




「シグは初めてだったわね。こちらはディッケル伯爵家のハイム様よ。こちらのディッケル伯爵家とは、最近お父様のお仕事で親しくされているの。そうそう。ハイム様のご長男も、シグと同じお歳だったはずよ」




 先程自己紹介は済んでいるものの、母が紹介してくれたので、ハイムは軽く挨拶をし直してくれた。




「お初にお目にかかります。シグルド卿。我が息子チュンバはシグルド卿とは違い、まだまだ至りませんが、いよいよ来週に迫ったお披露目会の折はよろしくお願い下さいませね」





 へー、同い年の息子がいるのか。同じ国から行くんだし、心配なんだろう。



 そうか、こうやって、貴族には取り巻きが出来るんだろうな。

 




 どうやら、この世界の貴族は10歳で令息令嬢同士のお披露目会があるそうで、シグルドも青の国からの帰還後、ダンスの練習や、レディファースト、紳士の品格を教わっていた。



 と言っても




 各国の貴族の令息令嬢の顔合わせという名目の軽い催しなのだそうだ。





 シグルドにとって、弱者を守る紳士の嗜みは前世の頃から変わっていないので、さほど難しい事では無かったし、貴族としての考え方や勉強も、元々中身が16歳からのスタートのシグルドにとっては軽くクリア出来たのだが。




 いざ、お披露目会が近付き、アンナが我が事の様に張り切り出したのだ。




 アンナは、土の神童と呼ばれる我が子、シグルドが注目の的になると分かりきっていた。



 産まれてすぐから呼ばれているその通り名に、更に2年前の娯楽案の提案で、橙の国の情勢はうなぎ登りだ。




 誰もがお近付きになりたいと思うのは当然だろう。



 

 だが、気に入られるのは良いが、揚げ足取りにだけは気を付けなければならない。



 そう思い、茶会を催しては、シグルドの顔を売っていたのだ。



 お披露目会の日は、中央にある帝国、花の国に各国から今年10歳になる令息令嬢が集まるそうだ。






 いざ、お披露目会、当日。




 俺は従者達と共に花の国にやって来た。



 この日の為に用意された、橙の国の代表である証の橙色のジャケットには豪華な金の刺繍がされている。白のシャツの襟元に巻かれたクラバットは大人の貴族を思わせる。



 国の色を纏って良いのは、その場にいる公国で一番地位の高い者だけである。



「良くお似合いでございます、シグ様」




「ありがとう。今日の為に母様が用意して下さったからな。しかし、せっかくの国を代表しての橙色のジャケットなのに、遠巻きじゃこの豪華な金の刺繍がまったく映えないのが残念だよ。なんだって金の刺繍にしたんだか」




「それは、金色が太陽を表す色だからでございます。この花の世界において、太陽は絶対的な物ですので、昔から刺繍の色は金色とされています。ですが、月を表す銀もまた、夜に咲く花に使用されるので喜ばれますが、花の国においては金が主流でございます」




「あー、花は滅多に夜には咲かないからかなぁ。だけど、ここに来てまたオレンジの不遇さだよ。さぞ他の色は金の刺繍が映えるんだろうな。いや、このオレンジの色合いをもう少し鮮やかにして、金の色合いも金粉ばりの金色にしたらもっと普通に映えそうだし。それよりいっそ、刺繍の場所の生地は色を薄くするのも有りだろう」




「オレンジとは、橙色をさすお言葉でしたね。確かに、この世界での橙色や土属性の位置付けは低いですが、シグ様の御助力のお陰でかなり変化致しました。これからもっと貴方様が変えていかれると、旦那様も奥様も私めも、皆が楽しみにしております」




 そう、少しだけ憂いを見せるハンス。



 俺が産まれた時から知ってくれてるんだもんな、感慨深いモノもあるだろう。本当に有難い。




「それと、国を代表する色を纏われる時は、スーツもドレスも一色で色の濃淡すらも決まりがございます」




 てか、話を聞くと刺繍の色までは変わらないんじゃないのか?金は太陽を現しているんだろう?んー今度デザインの話になったら補色の話でもするかな。まぁ、また決まりだなんだと言われるだけだろうが。



 

「しかし、凄い量の薔薇だな。この国に入ってからずっと薔薇の匂いがする」




「時期に慣れる筈ですが、お苦しければ仰って下さい」



 前世で海外に着くと、空港でその国の匂いがするという、それである。



 例えば、日本に来た外国人からは『醤油臭い』と言われている。簡単にあげるなら、友人の家に初めて入った時の匂いだろうか。




 シグルドの言葉通り、至る所に薔薇の庭園があり、色取り取りの薔薇が、帝国城の華やかさを演出している。




 遠目からでもこの華やかさだ。街並みも綺麗で、貴族街にも薔薇が多く存在していた。




「そーいえば、来る途中の城下町でも、店先には薔薇があったな。どの視界にも必ず薔薇がある。さすがは花の国と言った所だけど、もう、薔薇の国で良いんじゃないの?」




 街並みを眺めながら、1人呟くシグルドを横目に、ハンスがスッといつも綺麗な背筋を更に伸ばす。




「さぁ、到着致します」




 城下町の風景ばかりに目を奪われていたら、帝国城に到着したようだ。ハンスに手を引かれて馬車を降りるシグルド。




 帝国城で開催されるお披露目会か。さて、どんなものか。




 ふふふ。実はずっと気になっていたあの方にお会い出来るんだから楽しみで仕方ないッ。



 ワクワク顔のシグルドを横目に、笑みを浮かべるハンスであった。






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この物語は日・水・金の19時に更新します。

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