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『朱里ちゃんの微笑み』短編小説集   作者: 健野屋文乃
10 ときめきの章

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漆黒の夜空と気休めの嘘



「星の数ほど男はいるから・・・」

と夜の公園で佳奈は、失恋したばかりの親友に言葉を掛けて見た。


目に涙を溜めた親友の肩に手を置いて

「大丈夫だよ」

と声を掛けた後、佳奈がふと上を見上げると、


夜空には満天の星空が広がって・・・・


・・・は、いなかった。


厚い雲に覆われた夜空には、星どころか月すらなく、漆黒の夜空が、ただ広がっているだけだった。

また感情を昂ぶらせたままの親友は、その漆黒の夜空を見上げてしまった。


「・・・」 


「・・・」


「・・・」



「大丈夫、きっと漆黒の夜空の様な人と出会えるって事だよ」

佳奈は気休めの嘘を言った。


「ホントに?」

感情が昂ぶらせたままの親友が、そう言うもんだから、佳奈は、

「ホントだよ」

とさらに気休めの嘘を言った。


その次の年の冬、親友は漆黒のコートが良く似合う男と、付き合うことになった。

佳奈の気休めの嘘は、時々本当になる。


ただ佳奈が大切に思ってる人だけ限定だが。







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