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『朱里ちゃんの微笑み』短編小説集   作者: 健野屋文乃
10 ときめきの章

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みじんこちゃん彼氏ちゃんを作る

「あ~あ、なんか寂しい」


むかしむかし、浅瀬に住むみじんこちゃんは呟きました。


「そう言えば・・・細胞分裂するとき、強い妄想をすると、

彼氏ちゃんが出来るらしい」

と情報通の友人から聞いたことがあった。


「本当だろうか?」


みじんこちゃんは、とりあえず試してみることにした。

やっぱ彼氏ちゃんは、強い方が良いよね♪


強い彼氏ちゃん

強い彼氏ちゃん

強い彼氏ちゃん


みじんこちゃんは、強く妄想しながら細胞分裂しました。

出産程ではないけど、細胞分裂も結構大変です。


はあ、はあ、はあ・・・


細胞分裂したみじんこちゃんの前には、強い彼氏ちゃんが姿を現しました。


もうーみじんこちゃん、ニヤニヤです。

でも・・・強い彼氏ちゃんは、アホでした。


「おりゃーーーー!」

と、強い彼氏ちゃんは、近づいてきた危険な捕食者に、攻撃を仕掛けました。


強いと言っても、所詮、ミジンコ。

強い彼氏ちゃんは、あっと言う間に食べれらてしまいました。


「いやーーーー」


みじんこちゃんは、慌てて逃げました。

みじんこちゃんは、激しい喪失感に襲われました。

彼氏ちゃんはさっきまで自分自身だったからです。



「うん、やっぱアホはダメだ」

みじんこちゃんは、反省しました。


でも、今度こそは!


強くて賢い彼氏ちゃん

強くて賢い彼氏ちゃん

強くて賢い彼氏ちゃん


みじんこちゃんは、強く妄想して、細胞分裂をしました。


はあ、はあ、はあ・・・


細胞分裂したみじんこちゃんの前には、

強く、そして賢い彼氏ちゃんが姿を現しました。


みじんこちゃんは、もちろんニヤニヤです。


しかし、強くて賢い彼氏ちゃんは、

「俺は、自由なミジンコ、好きな所に行き、好きなように生きる!」

と言い放つと

「じゃあね」

と、どこかに行ってしまいました。


「えええええええええええええええええええ!」


みじんこちゃんは、叫びました。

そんな、あんまりです。

さっきまで自分自身だったのに、行っちゃうなんて!


「自由って、なんなの!

プランクトンに過ぎないミジンコが、自由を語るって、なんなの?」


またもやみじんこちゃんは、激しい喪失感に襲われました。



はあー、今度こそは・・・うん。


よーく考えたみじんこちゃんは、


強く賢くて、私の事を激しく求めている彼氏ちゃん

強く賢くて、私の事を激しく求めている彼氏ちゃん

強く賢くて、私の事を激しく求めている彼氏ちゃん


みじんこちゃんは、強く妄想して細胞分裂しました。


はあ、はあ、はあ・・・


細胞分裂したみじんこちゃんの前には、強く賢くて、みじんこちゃんの事を激しく求めている彼氏ちゃんが、姿を現しました。


みじんこちゃんは、激しくニヤニヤです。


強くて賢くて、みじんこちゃんの事を激しく求めている彼氏ちゃんは、みじんこちゃんを、激しく求めて・・・・ついにみじんこちゃんと彼氏ちゃんは、1つに成りました。



1つに・・・・


えええええええええええええええええ!!!!!!!!


そう言う事じゃなくってさ!!!!!!!

みじんこちゃんは、思いました。


細胞分裂の逆、細胞統合。


みじんこちゃんが、彼氏ちゃんを吸収したのか、彼氏ちゃんが、みじんこちゃんを吸収したのかは、解らない。


結局またみじんこちゃんは一匹に成りました。


もうちょっと進化しようっと・・・

そしたらきっと、めくるめく恋愛の道が開けるに違いない。






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