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『朱里ちゃんの微笑み』短編小説集   作者: 健野屋文乃
12 ときのすきまの章

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その辺は、まあ一応忍者なので

くノ一のうちは、アイドルのあかりたんが大好きです。


今日は、あかりたんの推し活の日。

うちの中で推し活とは、あかりたんの自宅警備です。


何より、あかりたんに殺害予告が届いているのです。

まあ今時殺害予告如きに、大騒ぎするのもなんですが。

推しの安全を守るのもファンの役目です。


忍者のファンとしては、せざるおえない訳です♪

うちは走っている貨物列車に飛び乗り、あかりたんのいる都会に向かった。

その辺は、まあ一応忍者なので。

真夜中の闇を突っ切る貨物列車の向こうに、街の明かりが見えてきた。

あかりたんの住む自宅は調査済みだ。


SNSに依れば、あかりたんは自宅のマンションにいるはずだ。


「ファンとして興奮しますわ」

うちは、あかりたんの住むマンションの自宅に簡単に侵入した。

その辺は、まあ一応忍者なので。ちょろい♪ちょろい♪

さて、あかりたんはもう寝静まっていた。


寝顔を拝見♪うわ!めっちゃ可愛い♪


違う違う。これはあくまで、あかりたんの自宅警備なのです。


うわ!あかりたんの御身足が!!!!!!!

ちょっと匂いを!ん!足の匂い。。。

まあ、それはそれだ。うん。


うちが変態行為をしていると、ドアが静かに開く音がした。

知り合い、もしくはマネージャー等の一般人が、そんな無音で開けたりはしない。


その不自然さに、忍びの本能に火がついた。


もしかして殺人予告の件?

有名人への殺人予告は珍しい事ではない。

一々気にしてもしょうがないレベルだが・・・


とりあえず知り合いの可能性もあるので、それが解るまで危害は加えられない。

忍法隠れ蓑で、壁と一体化して、あかりたんの寝室で見守ることにした。


侵入者は(うちも侵入者だけど)あかりたんの寝室に入ってきた。

あかりたんの寝室で、ナイフが微かに輝いた瞬間、うちは新たな侵入者の膝を蹴り、屈服させた。


そして敵が反撃する前に、忍法急速睡眠薬で意識を奪った。

拘束後、身分の解る物を探したが、何も見つからなかった。


すぐに上忍婆に連絡して、敵の身柄を引き取ってもらった。


この騒動が、あかりたんの眠りを妨げるモノではなかった。

あかりたんは、可愛い顔して眠っていた。

あかりたんは、365日24時間可愛いのだ。


うちは、それを見届けると、あかりたんの部屋を後にした。

そして玄関に、あかりたんがうちの保護下で在ることを示す、見えない印をつけた。

それを知って、危害を加えると言う事は、忍衆を敵に回す事と同義だ。


こうして、うちのあかりたんの推し活は、無事に終わった。



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