第5話 勇者アクマ、今度こそ旅立つ
「それにしても、勇者なのに指名手配犯になってしまうとはな。困った困った!」
「アクマ……全然困ってるように見えないけど……」
3人はまだ、町外れの空き地でごちゃごちゃと話し合っていた。
「それにしても、これからどうすっかな?」
「村の人たちに、勇者になって大活躍してくる、なんて大見得切って出てきちゃったもんね、アクマ」
「大見得じゃない! オレは勇者だからな! 大活躍するのだ!」
「指名手配犯なのに?」
「うぐっ……! 現状を打破し、勇者として大活躍するには、どうすればいいんだ……!」
アクマが頭を悩ませるなんて、非常に稀なことだった。
解決案など、このアクマが思いつくはずもないのだが。
そこで俄然瞳を輝かせるのは、サタンから地味野郎と称されたデビル。
矢継ぎ早に意見を延べ、アクマの思考を誘導していく。
「国王の命で指名手配になってるんだから、この国に留まってるのは問題がありそうだよね」
「うむ……そうだな」
「だったら、旅に出るしかないよね」
「うむ……まぁ、そうだな」
「とすると、ちょうどいいんじゃないかな?」
「なにがちょうどいいんだ?」
「勇者だったらやっぱり、冒険の旅に出るものだからだよ」
「おおっ、なるほど! それもそうだ! 一石二鳥、豆腐三丁、渡りに泥船だ!」
全然二鳥でもないし、豆腐は関係ないし、泥船では沈んでしまうわけだが。
ともかく、アクマは納得したようだ。
「じゃあ、決定でいいね?」
「おうっ! オレは旅に出る! 勇者だからな!」
アクマは完全にその気になっている。
さらに、
「はいはいは~い! 旅に出るなら、アタシもお供致します、勇者様! つーか連れていきやがれです!」
サタンも乗り気だ。
「わはははは! いいだろう、サタンよ! 偉大なる勇者のオレについてくれば、お前もきっと伝説に名を残せるであろう!」
アクマは上機嫌で受け入れる。
「うんうん、そうだね。さすがアクマだよね。そういう寛大な心を持ってるのも、実に勇者らしい!」
「わっはっはっは! そうだろうそうだろう!」
といったわけで、勇者たち一行は旅に出ることになった。
実際には指名手配から免れるための逃亡なのだが。
細かいことは気にしなくていいだろう。
しかし……。
デビルの肩書きが、勇者を舌先三寸で言いくるめ、いいように操る力を持った『勇者使い』であることを、アクマはまだ知らない。
かくして、(自称)勇者アクマ、勇者使いデビル、魔女っ(ぽく見える男の)娘サタンの3人の旅が始まるのであった。
――――とぅ~び~こんてぃにゅ~どぅっ!




