第3話 魔女っ娘サタン、唐突に登場する
処刑台にはりつけにされてしまった、勇者アクマとデビルの2人。
その処刑法は、とてもシンプル。
兵士が構えた槍で心臓をひと突き。
いや、ひと突きと言わず、動かなくなるまで何突きもするかもしれないが。
「フッ……。このオレの晴れ舞台を見るために、こんなに大勢の観客が集まってきているなんてな!」
「喜ばないでよ、アクマ! ボクたち、殺されるんだよ!?」
ツッコミの声すら、歓声によってかき消される。
確かに大勢の観客が集まっているのは間違いなさそうだ。
そんな中、司会進行役の男が喋り始める。
『みなさん、今日は本当に、よく集まってくださいました!』
男の声が建物内全体に大きく響き渡るのは、手に持って口に近づけているアイテムのおかげなのだろう。
おそらく魔法の品だと考えられる。
ウォォォォォォォォン!
司会の声が響くたびに、振動を伴うほどの歓声が轟く。
『まずはニセ勇者の公開処刑です。前座のつまらないイベントではありますが、闘技大会が始まるまでの時間潰しとして、少しでもお楽しみいただければ幸いです!』
「……って、ボクたち、メインイベントですらないの!?」
公開処刑の運命を受け入れることができていないデビルではあっても、思わずツッコミを入れてしまう。
と、そのとき。
ドゴォォォォォォォォォン!!!
突然の大爆発。
辺りに煙が充満する。
次の瞬間、
「勇者様、助けに参りました! アタシは魔女っ娘のサタンです!」
2人の目の前には、まさに魔女といった感じの三角帽子とローブを身につけた自称魔女っ娘が立っていた。
魔女っぽい帽子とローブではあるが、色は薄いピンク色。
さらにその手には、やはりピンク色でハートマークがふんだんに散りばめられている可愛らしいステッキも握られている。
とはいえ、その姿をじっくり確認している余裕など、アクマとデビルにはなかった。
「げほげほげほっ! お前、オレたちまで殺す気か!?」
咳き込みながらも文句をぶつけるアクマ。
デビルに至っては、目も開けられない状態だった。
「うっさいです勇者様! ちっとは黙っとけです! 今は逃げるのが先決です!」
爆発の勢いで、処刑台に固定されていた鎖も外れている。
「爆発魔法で空間に穴を開けてあります! さぁ、鈍くさい男ども、どうぞこちらへ!」
「鈍くさい男どもって、オレとデビルか?」
「他にいるわけないじゃないですか。早くしやがれです、勇者様!」
「あ、ああ……」
こうして、アクマとデビルは助け出されたのだが。
実に素早い対応で、町中にこんなビラが配られた。
『WANTED!
(詐欺)勇者アクマ、デビル(肩書き不明)、魔女サタン
以上3名、国王の名のもとに、全国指名手配!
捕まえた者には、賞金100万ゴールド!』
……………………。
――――とぅ……とぅ~び~こんてぃにゅ~どぅっ!