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ツバサ Flugilo
用事があって市庁舎に行く。
入口を入るとすぐ年輩の職員がオイコラと詰問、翼を何故着けないかと睨む。
意味がわからず周りを見ると、皆一様に白い翼を背に着けている。
その年で翼も持たないとは何事か、国の御魂をお分け頂いている印であるぞ、貴様さてはクロだなッと年輩職員は興奮し、殴打におよぶ、その後も小部屋で執拗に説諭。
翼を着けて明日出直してこいッ、怒鳴られお煙草代を差しあげてようやく解放、歯がぐらついているのを舌で確かめながら外へ出ると、出入り口のガラスを拭いていた掃除夫が、おい、あんたの翼はひょっとしてあれじゃないのかいと上を指差す。
見上げると夕空に白い三日月がぼんやり光っている。確かにあの辺に放り出して今日まで顧みなかった気がしてくる。
急いで取った方がいいぜ、他にもあれがほしい連中がいるようだ。言われてみれば、あちこちで蛙のように空へぴょんぴょん飛び跳ねながら月を追っていく人影がある。
あれは俺のだぞ、盗られてたまるかと自分も駆け出して跳ねる。
背後で掃除夫や職員達が大笑いする声が響く。
Fino




