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ナゾ Enigmo
なにゆえにあの男と恋などしたのか、いまとなっては謎である。
そして憎みあったわけでもないのに、喧嘩をして別れたのも謎。
いっそすべてを星々の並びのせいにしようと、占いの本など読んでみる。
わたしの心で遊ぶ大きな力があると思うほうが、日々ふくらんでくる不安から、のがれられる気がした。
数日ぶりに住まいから出て、落葉が進む広い公園をさまよう。
周囲に酸っぱいにおいのただようベンチに腰を下ろす。
顔を両手でおおう。すすり泣いたり、鼻歌を歌ったり。
ふと、隣に人の気配。座ったのは、あの男だった。
ぼんぼんめ、どんな方法でわたしを見張らせているのやら。
涙のにじむ眼でにらみつけると、男はまじめになにかを言おうとして、口をつぐんだ。
また開けて、つぐむ。そしてくしゃみ。格好がつかないったらない。
悔しいけれど、笑ってしまった。男も笑った。
演技だったのだろうか? 長くはないつきあいなのに、気味の悪いほどわたしのことを知っている。
わたしのお腹で育っているもののことも、どうやらすでに知っているらしい。
Fino




