第47話 アウト
「もうホント、降ったり止んだり、いきなりピカってなったりで、ここんとこ大変っすよ」
「そうだろうねえ」
「まったく予想つかないんす。ピンとこなくて困るんすよね。なんかコツとか無いっすか?」
「私が天気について興味があると思うか」
「なんかこう、学術的?な興味とかは無いんすかー」
「全く無いわけじゃないけど、そんなの実際の天気がどうなるかに役立つかは知らないよ」
「ブー」
「あのなあ……天気がモロに影響する仕事をしているとかじゃなければ、コツなんて掴めないだろ、多分……そういう観点で言えば、むしろお前がコツを掴んでいるのが自然な流れだ」
「全然わからないっす!」
「じゃあ諦めろ」
「しょうがないっすねぇ……ところでなんすけど」
「ん?」
来るか?
「今回のコレ、さすがにショボすぎないっすか?」
「む……ああコレか。味は良いと思うが」
「量が少なすぎっすよ! メニュー的にも、コレってオマケの一品なんじゃないっすか!?」
「いけないなあ……メニューに定番もオマケも無いんだよ。たとえメニューに『こちらも追加されてはいかがでしょう』と書かれている品だとしても、それをメインに据えてはならないわけではないのだよ。多様性を認めなさい」
「単純にボリュームが足りないっす……」
「なら帰りにコンビニにでも寄りなさい。そもそも今回の注文がこうなったのは、先週チミが品質に難ありと文句を言ったからなのだからね?」
「もうちょっと予算を上げるワケには……」
「つい先日、三桁を死守しようと誓ったばかりだ」
「うへぇ」
「まったく何かと思えば……もっと他に気にすべきことがあるだろうに」
「へっ? あ! そういえば!」
鈍いヤツめ。
「桜、ちょっと散り始めたっすよ! 火曜のうちに行っといてよかったっすねぇ!」
「ズコー」
「なんすかその反応は?」
「それはこっちのセリフだ」
「ホントに風流なことに興味が無いんすねぇ。人生損してまっすよ!」
「余計なお世話だ! 大体お前に風流の何がわかっているんだ、言ってみろ!」
「風を受けてバイクを走らせるのは気持ちいいっす! これが風流っす!」
「……」
「あなたも運転とかしないんすか? バイクじゃなくても気持ちいいっすよ!」
「そういうの苦手なんだよ……免許は一応持ってるけどさ……」
「仕方ないっすねぇ。それじゃ、運転はいつでもボクに任せるっす!」
「は、はは……頼もしいね……」
「いつでも呼んでくれれば飛んできまっす!」
「本当に飛んでくるなよ……」
「あー最近『空飛ぶクルマ』なんて話あるじゃないっすか! 興味あるんすよねー、どんなんすかね? 偉い人にちょっと聞いてみよっかなー♪」
偉い人! コイツにエサを与えないでください! しんでしまいます!
「そんなことより! 何か大事なことを忘れているだろう!」
「ほぇ? 注文は合計で二つっすよね? ……あ、さては、やっぱり量が少なすぎてお腹が空いてきたんすね? 追加注文しちゃいまっすか!?」
「そうではない! 私をよく見ろ!」
「え……そ、そんな急に言われても……ちょっと恥ずかしいっす……」
「何を急に可愛い子ぶりだしているんだ。そういうキャラじゃないだろう。私を見て何か変わった点に気がつかないかと問うているのだ!」
「変わった点……うーん、よくわかんないっす」
「ダメだこりゃ」
「ひいぃ」
「正解はな……髪を切ったんだよ! この節穴め!」
「あー……なんでまたそんな風流なことしたんすか?」
「なんでって……伸びすぎたからだよ」
「なーんだ。桜が散るのに合わせたわけじゃないんすね、ハハッ」
アウト。
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