第17話 16の日
毎月16日は『16の日』! 今月はなんとポイント16倍! ――これは一体……とりあえずキャンペーンルールの詳細を確認しよう――
「対象者」
全メンバー様
「ポイント16倍特典」
前日終了時点でのポイントが16倍になります!
【内訳】キャンペーン特典+15倍(期間限定ポイント)
「ポイント進呈予定日」
本日。なお、有効期限は進呈日の当月末までとなります。
「エントリー」
不要
文面はこんなもんで良いか。一応、送る前に読み直して、粗相が無いかを最終チェックだ!
『少しお話をさせて頂きたいので、サイトに投稿フォームを作るか、問い合わせ先のメールアドレスをお教えください。直接電話をかけるのはご遠慮ください』
……よし、70文字ピッタリ! 最後の句点を省いたおかげで、最低料金で済ませることに成功した。わざわざ問い合わせるのにお金を払わされるというのは遺憾極まりないが、さすがに文句の一つでも言わないと気が済まない。いくらケチだからって、このくらいの負担なら軽いものだ。精神衛生のために払うコストとしては、やむを得ないところだろう。まったく、とんでもないことをしてくれたものだ。せっかく穏やかな日常を満喫していたというのに……
「送信完了っと」
SMSを送る日が来るなんて想定外だったな。なんでこんなものが未だに出しゃばっているのか不思議でしょうがなかった。外国なんかでは昔から利用されていたとは聞くものの、国内ではもっぱらキャリアメールからの今は……どうでもいい。あんなサービスは私には無縁だ。ナゾッターをチラ見するくらいで、お腹いっぱいだ。なにが楽しくてキャッキャウフフしているんだろうね……
お、返事が来たな。なになに――
「お問い合わせフォームを用意するのに時間がかかってしまいそうなので、メールアドレスをお伝えさせていただきます。こちらのメールアドレスまで、お問い合わせくださいませ」
ふむ、無難なところだな。捨てアドなら既に持っている。最近はメールでのやり取りをすることがあまり無くなったから、なんだか懐かしいな……それでは、怒りの丈を思う存分殴り書き、といこうじゃないか。
……こんなところだろう。なかなかの力作ができた。私の十八番、小一時間問い詰める文書の完成だ。とても人には見せられない。いや、これを読ませられる相手にだけは、一時間にわたり絶望を味わせ続けることとなる、あくまで合法の私刑だ。ペンは剣よりも強し、昔の人はよく言ったものだ。
まともに文章など書いてこなかった私ではあるのだが、こういう文書を作ることだけは自信がある。500文字制限の問い合わせフォームに500文字ピッタリの文章を詰め込むことなど造作もない。細かい微調整を繰り返して、望みの文字数に合わせる技は、すでに達人の域に達していると思う。
それが文字数フリーともなれば、まさに論文を執筆するノリで一心不乱に書き続けることができる。小説などと違って面倒な描写など全く必要が無い。理路整然と文句を書き連ねれば良いだけなのだから、これほど簡単なことは無い。章番号をふんだんに活用したメールを当たり前のように送っては、偉い人から良く褒められたものだ。
……昔の話は別にいいか。すでに何もかも過ぎた話だ。ちょっと久しぶりに頭に血が上って、バカバカしい自慢にもならない話を勝手に頭の中で繰り広げてしまった。でもまあ、無駄にくらったストレスの発散にはなったから良しとしよう。さて、それでは……
「ふざけたポイントプログラムを連日にわたり叩きつけてきた正体不明の愚か者よ……我の怒りをタップリと味わうが良い……送信」
【ポイントプログラム】
利用可能ポイント: 1600
うち期間限定ポイント: 1500
有効期限: 2023-02-28




