第15話 褒美という名の罰
「よーし今日はサクッとゲットー!」
早朝のゴミ出しついでにさっさとコンビニに来て、今日から発売の限定品を全種確保した。もう油断はせぬ。そして買い占めもせぬ。一種ごとに一品ずつ買った。他の人だって買いたいだろう。イケメンだって買いに来るかもしれない。むやみやたらに狩り尽くす酷い真似なんてするものでは無い。
朝は苦手な方だと思ってるんだけど、これだけ動いた後はもう目がバッチリ覚めているな。こうなると朝というのは気持ちが良いものだなあ。思ったより苦労せず目的が果たせたから、すぐに家に帰ってしまわないで、ちょっとそこらを散歩するのもいいかもしれない。こっちの方には普段は来ないから、軽く探検でもしてみよう。
「ピクニックできる良い場所がまた見つかるかもしれないしね」
「ふー、今日の作業はこれでおしまいっと」
あー、これから何をしようか。作業が捗るようになったぶん、余った時間の潰し方で困るようになった。以前だったらネットでダラダラして終わっていたけれども、なんだかそれで終わっちゃうと、もったいないような気がするようになってしまった。それで最近は軽くそこら辺を散歩するようになった。でも今日は早朝に散歩しちゃったんだよねえ。
「ネタが無いと困るではないか」
誰が困るって? ヒマしているだけで別に困ってはいないぞ? むしろダラダラ過ごせるのは幸せな事ではないか。たとえば日記とかに書く内容が無いよう、ということなら『ダラダラダラダラ――』と書いてページを埋め尽くせばいいだけだ。ただの日記なら去る読者もいないのだから、何も気にすることは無い。好きにすればよいのだ。
「それにしても、内容が無いよう、って。頭の中で勝手に悲しいギャグを言うタイプだったっけ? 私って……」
頭の中を覗かれでもしていたら、恥ずかしくて悶死するところだ。いや、ほぼ誰もいないこの世界で、どこかから勝手に頭の中を覗かれているとか、シュールすぎて笑えてくる。頭の中を覗かれないかわりにリア充で辺りが埋め尽くされている世界と、どっちがマシだろうか? 難しいところだ――実害が無いなら、覗かれていてもいいような気もするが――
「ま、そんなことあるわけないんだし、気にするだけムダムダ!」
「はあー。結局ダラダラして一日が終わったー。ダラダラー」
まあ最近はアクティブに活動する日が多かったんだし、平日でもこんな日があったっていいよね。無駄に疲れをためて翌日に影響が出るよりは、はるかに有意気だと思う。それに――なぜだろう、明日は何かありそうな気がする。今日ではない。今日は何の日でもない。
「自分へのご褒美?」
そんなくだらないことにお金を使うなんて、もったいない。ああでも、ちゃんと分別をして、今日もキチンと生ごみを回収してもらえた自分に対しては褒めてあげてもいいだろう。自分を褒めるなんて、いつぶりだろう。こんなご褒美めったにないぞ。喜んで受け取りたまえ。
「ははーっ。ありがたき幸せ」
……これはいったい何の罰ゲームなんだろう。誰にも見られていなくて良かった。まあとにかく、何の脈絡もなく明日に期待しよう。こうやってハードルを上げるだけ上げておこう。頑張れ、明日。そんなに無理をしないでも、ハードルの下をくぐっちゃってもいいからね。期待しています。




