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差し入れをしましょう

しばらく待つと、お昼休憩になりました。

レンに声をかけようとすると、部長さんが話しかけていたので、失礼ですが、割り込ませていただくことにします。





「レンくうん、ご飯一緒に食べない~?私い、レンくんのために多めに作ってきたんだあ。そこのベンチで二人でえ、」

「レン、レンのために、お弁当作ってきたんです。あちらで食べましょう?」




部長さんは、レンの正面から話しかけておられて、入る隙間がありません。

仕方がないので、レンの右側に行き、レンの胴着の脇をちょいちょいと引っ張ると、私に気付いて、私のほうを向いてくれたので、レンに声をかけました。



すると、レンは顔を綻ばせ、すぐに返事をしてくれました。


「ありがとう、京香ちゃん。何作ってくれたのか、楽しみだな。」



レンが返事をしてくれましたので、レンに笑いかけ、レンの手を引いて、場所を移動しようとしました。

あっと、忘れるところでした!

ちゃんと、部長さんに完璧な笑顔を見せなくては!



私が、ニッコリ笑うと、部長さんの顔が、怒りでみるみるうちに紅く染まって行きました。

すごいです!愛華さんの言われた通りです!

『ここではニッコリ笑うだけでえ、相手が勝手に嫌みだと感じてくれるんだよお。』

と言われていましたものね。




「ちょっと!藤原さん!!」

「はい?」

「私が先にレンくんを誘っていたのに!それに今日は部活の大会だから、ここで食べなきゃいけないの!」

「確かに部長さんが先に声をかけておられましたが、レンが了承したのは私でしたよ?場所については分かりましたので、ここで食べさせてもらいますね。」

「~~~!!!」




私が、レンの右隣を確保すると、部長さんは、レンの左隣に座った。

ここでは、無理に引き剥がさないでいいとのことでしたので、気にしないことにして、レンに、おば様に手伝っていただいたお弁当を広げました。


一口大の、色々な味のおにぎり。

タコさんウインナー。

ケチャップでハートマークを描いた、ミニオムレツ。

アスパラのベーコン巻きには、ハートのピックをつけて。

デザートのリンゴは、ウサギ型に。





「わあ!可愛いお弁当だね!ありがとう京香ちゃん。」

「どういたしまして。」


喜んでくれたので、こちらも嬉しくなり、レンに一通り取り分けて渡しました。



「おいしい!このミニオムレツ、僕の好きなチーズ入りにしてくれたんだ。」

「だって、レンのために作ったんですから。」

「うれしいな。もう1つ食べよっと。」

「そんなに慌てなくても、まだありますから、ゆっくり食べてくださいね。」

「ごめん。とってもおいしいからつい。」


「レンくうん、そんなにチーズ入りのミニオムレツ好きなんならあ、私の作ったチーズ入りの玉子焼き食べなあい?」


「部長さん、申し訳ないですけど、レンは、私の作ったものがいいんだそうです。遠慮していただけますか?」


「ええ~?レンくんならあ、私の作ったもののほうが喜んでくれるよお!それにい、、アスパラのベーコン巻き、ベーコンがちょっと焦げてるよお?レンくんも1つも食べてないしい。藤原さんってあんまり料理上手じゃないんだあ。レンくうん、私の作ってきたお弁当食べたほうがいいよお!」


「ごめんね、京香ちゃん。やっぱり、私は手を出さないほうがよかったわね。」

「おば様……。そんなことないです!部長さん!変なこと言わないでください!」





「えっ……レンくんのお母様ですか?」

「はい。部長さんですか?レンがいつもお世話になっています。」

「お世話なんてっ、そんなっ!当たり前のことです。だって……私……レンくんとおつきあ」

「とっても無愛想な子だから困るでしょう?ホントに、京香ちゃん以外には冷たいんだから。それだって、京香ちゃんの作ったものを食べたいから後回しにしていたんでしょう?」

「……そう。」

「ほんっとにレンったら、京香ちゃんが大好きなんだから!」





私は静かに部長さんに近付き、囁いてみる。

「おば様も公認なんです。いい加減、レンの『特別』は私だって、気が付いていただけました?」


「あんたっっっ!!!」





部長さんは、何か言い返そうと口を開きましたが、おば様とレンを見ると、歯をくいしばって何も言わずに去っていかれました。


本当に、いい加減分かっていただきたいです。

部長さんは、レンの『特別』ではないこと。

私が、レンの『小さいころから一緒だった、他の女の子とはちょっと違う特別』つまり、仲のいい幼馴染みだと!

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