「あ~ん」は基本中の基本です
行列は、思っていたよりも早く進み、10分で席に着くことができました。
……せっかく並んでいたのに、列を離れられた方々、ごめんなさい。
あのあと、正気に返った女の方々が見られたのは、愛華さんを、鼻の下を伸ばして見つめる彼氏さんたちでした。
ご自分も、リュウやレンに見惚れていたのに、やはり、自分の目の前でやられると腹がたつのでしょう。
ケンカが始まり、列を離れた方々が多く見られました。
心のなかで、謝罪しながら席に着くと、メニュー表に心を奪われ、謝罪はどこかへ消えてしまいました。
ああ!あれもこれも全部美味しそうです!!
「京香ちゃん、どうするう?」
「どれにしましょう~。」
「この抹茶チーズケーキ美味しそじゃな~い?」
「本当ですね!でもこのストロベリームースも美味しそうです!」
「それも美味しそお~。でもお、レアチーズケーキもいいなあ。」
「こちらのベイグドチーズケーキは、雑誌に載っていましたよね。」
「う~~~……京香ちゃん、食べたいのが多すぎて決まらないよお。」
「私もです……。」
どのチーズケーキも魅力的でなかなか決められません。
見れば見るほど気になるのが増えてしまいます。
いっそのこと、いくつか購入……。
でも、最近ちょっと太ってしまいましたし、今日のデートではたくさんお金を使ってしまって、正直、お財布がかなり寂しくなってしまいました。
ん~……。
定番のベイグドチーズケーキにするか、レアチーズケーキにするか……。
「京香、俺の「京香ちゃん、私と半分こしない~?」
「ってめ!遮るな!」
「リュウ、愛華さんに威嚇するのやめてください。」
愛華さんが素敵な提案をしてくれました。
「ちなみに、愛華さんは何と何で迷っておられるんですか?」
「えっとねえ、レアチーズケーキか抹茶チーズケーキかで迷ってるんだあ。京香ちゃんは~?」
「私もです。」
「じゃあ、この2つ頼もっか~。」
「はい、ぜひ。」
買った服のことや、面白かった映画の話など、おしゃべりをしながら待っていると、美味しそうなチーズケーキたちがやってきました!
愛華さんに了承をとってから、レアチーズケーキを一口食べてみました。
う~~~……。
幸せです。
口のなかでとろけて、後味の爽やかさがたまりません!
やっぱり家で作るものとは全然違いますね。
「京香ちゃん、あ~んしてえ?」
「…美味しいです!」
抹茶チーズケーキもとっても美味しいです!
のまま、二人で食べさせあいっこをしていると、横からレンに呼ばれました。
「京香ちゃん。」
「ん。」
レンに呼ばれ、そちらを向くと、口の中にベイグドチーズケーキが入ってきました。
「京香ちゃん、これも食べたかったでしょ。」
……さすが幼馴染み。
私が何を好むかよく分かっていますね。
愛華さんに言わなかったことまでばれているなんて……。
じゃあ、私もお返しに。
「はい。」
「ん。京香ちゃんのも美味しいね。」
笑顔がとろけてます。
この笑顔は、本当に嬉しいときの顔ですね。
たまたま通りかかった店員さんが、直視してしまったのか、固まってしまっています。
「京香、あ~ん。」
「ん。」
「これもだろ?」
ストロベリーも美味しいですね。
リュウ、ありがとうございます。
「ついてる。」
口にいれ損ねた、唇の端についたのを、指でくいっと拭い、リュウ自身の口にいれようとしたとたん……
「いいかげんにしなさいよっっっ!!!」
……ああ、やっと登場されましたか。
家の前から、ずっとついてこられていましたよね。
お疲れ様でした。
こそこそついてくるのは大変だったでしょう。
それに、このお店は今日はカップル限定だったはずなのですが、どうやって入られたのでしょう?
……ねえ、山崎センパイ、長澤センパイ。




