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正気に返っていただきましょう

服やアクセを買って、満足した私たちは、いよいよ本命のチーズケーキ屋さんへたどり着きました。


お客さんが多くて、行列ができていますね。

流石、今一番人気と噂になるだけはありますね。

このままだと、30分くらいは待たなくてはいけなさそうです。


でも、おしゃべりでもしていればすぐだろうというのと、このお店に来るのがメインのデートだったということから、その行列の最後尾に加わりました。




他のお客さんたちも、今日はカップル限定なのもあり、皆さんイチャイチャするのに忙しくて、待っているのが苦ではないみたいです。




……と思っていたのもつかの間……。


カップルの女性の方が、リュウを見るなりお相手の男性のことも忘れて、リュウに見惚れています。彼氏さんに抱きついたまま他の人を見るのは……。


レンをうっとり見つめながらも、私や愛華さんを睨むという器用なことをしているそちらのお姉さんは、先程まで人目を憚らずに、熱烈なちゅうをしていたはずなのですが……。


そちらの方は、確か先程まで彼氏さんの耳元で何かを囁いていたはずなのですが……何故に彼氏さんの腕を振りほどいているのでしょう。


女性だけかと思いきや、男性の方は、愛華さんを鼻の下を伸ばして見ています。


カップル同士でなにやってるんですか!


……因みに、私に向けられる視線は、

『何であんたみたいな女が!』

という、刺々しいものだけです。

うう……視線が痛いです。





ここは、いつものように、皆さんに正気に戻っていただくしかないですね。

よしっ!


「リュウ、私脚が疲れちゃいました。」


甘えるようにリュウにもたれかかると、リュウは優しく笑い、縁石に座ると、私を抱き上げて膝の上に乗せてくれました。


「じゃあ座ってろ。」

「ありがとうございます。」


リュウと目をあわせてお礼を伝えると、すかさず、レンが、ミネラルウオーターでハンカチを濡らし、私の脚を冷やしてくれました。


「レン、ありがとうございます。とても有り難いのですが、せっかくの綺麗なハンカチが……。」

「どういたしまして。ハンカチの一枚や二枚、京香ちゃんの疲れに比べたら何でもないから気にしないで?」

「でも……。」

「う~ん……、そんなに気になるんなら、後でハンカチ、京香ちゃんが、僕に似合うの選んでよ。」

「分かりました!後でプレゼントしますね。」

「選んでくれるだけでいいんだよ?」

「でもそれじゃあ申し訳……」



「おいコラ京香!俺といるのに、他の男見たり喋ったりすんじゃねーぞ!」

「もう!リュウったら邪魔しないでくださいよ!」

「余所見するお前が悪い。」


「……邪魔しないでくれません?」

レンが冷徹な瞳で、リュウを睨み付けます。


「邪魔あ?俺と京香の邪魔をお前がしてんだろーが。俺は京香と過ごすから、お前は『愛華さん』と仲良くしてろ。ハンカチは、俺の京香が世話になった礼に、金は出してやるから自分で好きなの選べ。」


「嫌だなあ、確かに『愛華さん』は素敵な方ですが、僕は京香ちゃんしか恋愛対象にならないんですよ。」


「んなもん、俺だってそうだ。」


「ハンカチも、関係ない方にお礼をしていただく訳には……。逆に、僕の京香ちゃんがお世話になって……お礼を差し上げなくてはいけませんね。」





ああ、周りで見ている方々の声なき悲鳴が聞こえてくるようです。



まあ、見ている方々は、私たちが幼馴染みなどと知っておられないので、恋愛面の『好き』か、幼馴染みの『好き』か分かりませんものね。

大いに勘違いしていただきましょう!




リュウもレンも、私が性悪女になるための協力ありがとうございます!


二人とも演技上手ですねえ…。

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