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転生先は婚約破棄の真っ最中!?〜聖女は王子と結ばれて、今度はあーしが婚約するらしい?〜  作者: おやまみかげ(・8・)


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第二話 タイガとユイ様は婚約者になりました。


「もう無理……。頭がおかしくなる……」

「ユイ様、しっかりしてください! あと二時間、授業がございます!」

「もう嫌だ……。あーしが特進クラスなんて無理に決まってるじゃん……」


 机に突っ伏すあーしを、リーンは一生懸命励ましてくれる。


 ここの授業は、まるで呪文のようだった。

 いや本当に呪文なんだけどさ、勉強してるの。


「ユイ様なら大丈夫ですよ!」

「リーンも見てたっしょ? あーし、爆発させたんだよ?」

「初めてなのですから、気にしなくて良いのです!」

「リーンはそう言ってくれるけどさ……」


 あのみんなの冷たい視線よ……。

 そらそうよ、特進クラスにいるのに爆発させんだからさ。


 リーンと話していると、クラスの女子たちが彼女を呼びにきた。

 

「リーン様! 先生がお呼びでしたわよ」

「あら。ではユイ様もご一緒に――」

「いいえ! ユイ様はここで待っていましょう? 私たちもお話ししたいですわ」

「わかりました! ではユイ様をよろしくお願いしますね!」

「あ、ちょっとリーン!」


 ニコニコと手を振りながら、彼女は教室を出ていく。


 ……嫌な予感しかしない。

 こういう時って大抵――。


「ねぇ、あなたなんで特進クラスにいるの?」


 はいキターーー!! そうですよね。

 あーしもそう思うもん。

 てか知らなかったしね!? 特進クラスだったなんて!


 でもさ、そんなに睨まなくてもよくない?

 

「どうせカテナ家だからでしょう? シルヴェスター様と遠縁なんですってね」

「だからリーン様もあんなに面倒を見ていらっしゃったのね」


 あー、なんかそんな設定になったって言ってたな。

 

 えーと、王様の妹さんの旦那さんのお姉さんの旦那さんの実家なんだっけ? カテナ家って。

 得体の知れないあーしを、よく受け入れてくれたもんだよなぁ。


「ちょっと、聞いてる!?」

「あ、うん。多分シルがリーンと一緒の方がいいだろうからってしてくれた――」

「あなた、シルヴェスター様のことをそんな呼び方しているの!?」

「不敬だわ! リーン様のことも呼び捨てにしているし」

「じゃああんたらもすればいいじゃん」


 ――バチン!!


「痛った……」

 

 あーしの言葉が気に入らなかったのか、女子の一人にビンタされた。


 ……結局こうなるのかよ、めんどくさ。

 だから来たくなかったんだ、学校なんて。


「あなたが悪いんでしょう!? 身の程をわきまえなさいよ!」

「……弁えるべきなのは貴様らじゃないのか?」


 あーしを庇うかのように、男が話に割り込んできた。

 黒い髪を持つ、不機嫌そうな顔した男——。


 ……誰だ、こいつ。

 つか、でかっ!! 身長いくつあんだよ!!


「タ、タイガ様! これは、ちょっと教えてあげていただけで……」

「教えてあげていた。何を?」

「シルヴェスター様や、リーン様に失礼な態度を取るべきではないと……」


 タイガ? なんかどっかで聞いたことある名前だな。

 ……誰だっけ。


 しどろもどろになる女子たちを前に、タイガと呼ばれた男はフッと鼻で笑う。


「殿下もリーン様も、嫌がってなどいない。むしろ彼女をとても大切にされている。そんな相手を殴るなど、どんな処罰が下されるのか楽しみだ」

「そ、そんな……!! 私たちはそんなつもりでは——」

「『教えてあげていた』という言い方をする時点で、貴様らが彼女をよく思っていないことなど明らかだろう。この事はお二人に報告する」

「いや、ちょっと待って。あーしそんなこと頼んでなくない?」

「お前、自分が何をされたのかわかっているのか?」

「ビンタされたけど? でもあーしのことムカつくのは仕方なくない?」


 シルは将来王様になる人で、リーンはその奥さんになる人。

 そんな人たちのことを気安く呼んでたら、そりゃあイラッとする人もいるよ。

 しかも二人、人気者なんだろうし。


「はぁ……。なんでこんな奴をリーン様は……」

「てかあんた誰? どっかで名前聞いたことある気すんだけど、思い出せなくてさ!」

「……タイガ・グラディウス。リーン様の護衛騎士だ。今朝会っただろう」

「朝……?」

「お前が朝乗ってきた馬車を走らせていたのは俺だ」

「ごめん、全く記憶にないわ。馬車しか見てなかった」


 呆れたように、タイガがため息をついた。


「ユイ様、お待たせいたしました! ……って、みなさんどうなさいましたか?」


 立ち尽くす女子たち、呆れるタイガ。

 なんだかよくわかってないあーし。

 それらを見て、リーンが不思議そうな顔をする。


「リーン様が戻っていらっしゃったわ! では私たちはこれで!」

「ごきげんよう!」


 いそいそとバツが悪そうに去っていく女子たち。

 それを見たリーンが何かを察した。


「タイガ、何があったのです?」

「彼女が絡まれていました。リーン様や殿下を親しげに呼んでいたのが気に入らなかったようです」

「まぁ……! ユイ様、大丈夫でしたか!?」

「うん、別に大丈夫だよ」


 心配そうに顔を覗き込んでくる。

 本当に心配性な聖女様だ。

 

「殴られていただろう、お前」

「あんなの殴られたに入らないし」

「すごい音がしていたぞ」

「まぁビンタだからね」

「もう少し気にしたらどうだ……」

「済んだ事だし〜」


 嫌なこと覚えてたって、いいことなんてない。

 だったらさっさと忘れて、楽しいことだけ覚えてた方がハッピーだもんね!


「能天気な女だ」

「なんとでも言ってくださ〜い」

「ふふ、やっぱり正解でしたね」


 リーンがクスクスと肩を揺らす。


「ん? なにが?」

「昨日、シルヴェスター様にお願いしたことがありまして」

「へぇ〜!! なに!? なにをお願いしたの!?」


 思わず身を乗り出す。

 

 てか、わがまま言えるようになったんだ!!

 よかった〜! まじ進展してんじゃん!!

 シルもリーンにわがままなんて言われたら、まんざらでもないんだろうな。


「ユイ様の婚約者についてです」

「婚約者……?」

「はい。ユイ様も17歳ですので、必要かと思いました」

「いやいや、いらないよ!?」

「そこで、シルヴェスター様にお願いしたのです」

「ごめん、話聞いてくれるかな!?」


 リーンのわがままって、あーしのこと!?

 いやいや、自分のわがままを言って!?

 しかもシルにそんなこと言ったらさ……

「リーンがそう言うなら」ってなるに決まってんじゃん!?


「わたくし、ユイ様の婚約者にタイガを推薦いたしました」

「……リーン様? 今、なんと仰いました?」

「タイガはユイ様の婚約者になりました」

「はい?」

「え?」

「シルヴェスター様の許可も得て、タイガとユイ様は正式に婚約者になりました」


 いやいや、何言ってんのこの聖女——。




 ここまで一部改変はありますが、

 先行配信版と同じ内容になります。

 次回から完全新話です*\(^o^)/*



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