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転生先は婚約破棄の真っ最中!?〜聖女は王子と結ばれて、今度はあーしが婚約するらしい?〜  作者: おやまみかげ(・8・)


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第一話 あーし赤点常習犯ですよ? 


「リーン・カンパニュラ。キミとの婚約を破棄する!!」


 急に異世界転生したと思ったら、婚約破棄の真っ最中だったあの日。

 あれから聖女リーンと王太子シルヴェスターは、色々あったが再び結ばれた。


 あーしに身体を譲るために、自らは手鏡になるという暴挙に近い術を使ったニア。

 推しカプであるシルリンが無事結ばれたため、今は元の身体へと戻っている。


 二人がくっつき、ニアが元の身体に戻り、役目を終えたあーしは元の世界へと戻るのかと思ってたんだけど……。


「ユイ様、お身体の調子はいかがですか?」

「あのさ、リーン。毎日来なくて大丈夫だよ」

「いけません。まだ身体がこちらの世界に慣れていないかもしれませんから」

「もうあれから1週間経ってるし」

「まだ1週間です!」


 あーしこと《ユイ》は何故かこっちの世界に残ることになった。

 聖女であるリーンが禁術を使ったようで、身体ごとこっちの世界にいる。


 ……聖女が禁術って、大丈夫なんかこの国。


「リーン、ユイの調子はどうだい?」

「シルヴェスター様、聞いてください。ユイ様が、もう大丈夫だから毎日来なくていいとおっしゃるのです!」

「ダメだよユイ。まだ本調子ではないのだから」

「いや本調子だよ。いつまで寝かされ続けんの?」


 そろそろ寝てるのにも飽きてきた。

 

 それにこの二人、過保護なんだよな。

 もう大丈夫だって言ってんのにさ。


「そうかい? それなら話があるのだけれど」

「なに? あーし難しいことはわからんよ」

「それはわかっているよ」


 真顔でさも当然のように答えるシル。

 この男、本当に失礼なやつだ。


「ユイは、今いくつなんだい?」

「は? なに急に」

「19、ぐらいかな?」

「失礼だな! まだ17だよ! あーし早生まれなの!!」

「ということは……」

「わたくしと同じですね!」


 リーンがにっこりと笑う。


 ……へぇ、同い年なんだ。もっと幼く見えるけど。


「僕は20さ」

「へぇ。で、なんで急に歳の話?」

「もう少し興味を持ってくれてもいいんじゃないかい……。まぁ、それは置いておいて、キミにも学園に通ってもらおうと思ってね」

「学園?」

「はい。わたくしたちが通っているところに、ユイ様もいかがかと」


 思わず二人から、顔を背けてしまう。


 話って、これのことか。

 学校、あんまり行きたくないんだよなぁ。

 引っ越してからいい思い出ないし。


「……ユイ、向こうでなにがあったのかはわからない。でも学園には僕もいるし、それなら——」

「え!? ハタチになってんのに学校通ってんの!?」

「ハタチ……?」

「あ、えっと。20歳でも学校行くの?」


 大学的な感じ? でもリーンもニアもいるんしょ?

 こっちでは学校の年齢が違うんかな?


 不思議に思ってると、シルも同じような顔をした。


「当たり前だろう? まぁ、もうじき僕は卒業するんだけれど」

「シルヴェスター様が卒業しても、わたくしたちがいますから大丈夫ですよ!」

「でも、あーし勉強苦手だしさ……」

「大丈夫です! わたくしたちがサポートしますから!」


 両手をギュッと、リーンに握られる。


 えぇ……。まじで?

 あーし赤点常習犯ですよ? それで大丈夫なの……。


「と、いうことで。もう本調子なら明日から学園に通おうか」

「いや急展開過ぎん!?」

「もう手続きは済んでいますので大丈夫ですよ?」

「いやいや、そういう問題じゃなくてさ!」

「制服も用意してある。必要な教材も揃えてあるから安心してくれて構わない」

「いやだからさ……」


 そういうことじゃないんだけど……。


「楽しみですね、ユイ様!」

「こっちでの学園生活を楽しんでくれると嬉しいよ」


 すごく楽しそうだけど、善意の押し付けがすごい……。


 


 *


「おはようございます、ユイ様!」

「ねぇ……これで行くの……?」

「はい! 危ないですからね」

「通学するだけじゃん……」


 翌朝、リーンがあーしを迎えにきてくれた。

 豪華な馬車で。


「さぁユイ様、どうぞ!」

「いや、あーしは歩いていくよ……」

「場所、ご存知ですか?」

「そんなのスマホで調べれば——」


 あ、ないじゃん。スマホ……。


「はい! では乗ってくださいね!」


 リーンにグイグイ押され、馬車に詰められる。

 赤い布貼りの座席は、まるでソファのような座り心地だ。


「すごい……ふかふかしてる」

「こちらで快適に学園までお送りいたします!」

「そんな遠いの?」

「はい、申し訳ございません。5分ほどかかりますがご容赦ください」

「いや十分近いっしょ……」


 金持ちの感覚ってわっかんないなぁ……。


「あ、そうです! クラスはわたくしと一緒ですのでご安心ください!」

「リーンと一緒か! ニアは?」

「ニア様はお隣のクラスなのです」

「そっか、みんな一緒ってわけじゃないんだね」


 でも、リーンが一緒なら安心か……。


「学園生活楽しみましょうね!」

「うん、ありがとうリーン」


 それから馬車に揺られ、学園には着いたんだけど――。


「でっっっっか!! これ全部学校!?」

「はい。そんなに大きいでしょうか?」

「これあれだよ……夢の国だよ……」

 

 真ん中に城建ってるし。

 ガラスの靴履いたお姫様出てくる系じゃん……。


「大丈夫ですか?」

「うん、大丈夫じゃないけど大丈夫……」

「では職員室に行きましょう! 初日なので、ご挨拶からのはずです!」


 そのあたりは同じなのね、どの世界も。


 リーンに腕を引っ張られながら、あーしはそんなことを考えていた。




 *


「はい皆さん静かにしてくださいね」


 担任が手を叩くと、騒がしかった生徒が静かになる。

 手招きされて中に入ると、リーンと目が合った。


「ユイ・カテナさんです。自己紹介お願いね」

「ユイです。よろしくお願いします」


 パチパチと、リーンが拍手をしてくれる。

 それに続いてみんなも同じようにしてくれた。


「じゃあ席は……」

「先生、わたくしの隣でお願いします。ユイ様は大切な友人なのです」

「あら、そうなの? じゃあユイさんはリーンさんの隣に座ってね」

「はい」

 

 友達……。そんな風に思ってくれてんだ。

 正直、めっちゃ嬉しいんだが……。


「ユイ様、フォレストリア学園へようこそ! これから一緒に頑張りましょうね!」

「うん! 改めてよろしくね、リーン」

 

 ここでなら、なんだか楽しく過ごせそうな気がする。

 そう思えた。


 


 連載版スタートしました*\(^o^)/*



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