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小さな文学少女が友達を欲しがっていたので友達になって、ついでに自己肯定感やら友人関係を整えたら想像以上の勇者になった  作者: 夜月紅輝


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クエスト74 勇者と新たな人物#1

「――というわけで、この中で唯一リア充になった不届き者が、この堅物メガネ畜生こと相沢宗次になります」


「相変わらずお前の紹介分は悪意の塊でしかないな」


 宗次とキンタローの披露宴が終わった翌週。

 本来する義務もない交際報告を敬が積極的にする。

 それも、自分ではなく他人という所がミソだ。


 そんな敬に対し、宗次は腕を組みながら呆れた声を漏らしていた。

 その彼の泰然自若とした態度は、普段のものと変わりない。

 つまり、ようやくか彼自身でも気持ちの落ち着きどころが見つかったようだ。


 そして、そんな報告を聞かされたのが、京華、那智、夕妃、悠馬と女子三人男一人だ。

 要するに、いつもの変人メンバーである。

 ちなみに、天子もその場に居るが、既に知っているためノーカウントだ。


 そんな敬による報告が終われば、彼のダル絡みは真っ先に悠馬に向かった。

 ふらっとした足取りで隣に近づけば、恐れも知らない大胆な肩組みをしていく。

 そして、口から漏れるは煽り言葉だ。


「おいおい、悲しいよなぁ悠馬。まさかこの中で一番に抜けるのが、この堅物調教ドS鬼畜メガネなんて。どう考えても女の敵! で終わりそうなのに」


「それはお前の妄想の中だろうが。

 てか、実際にこの中で誰がモテるかって言うなら、どう考えてもコイツだろうが。

 正直、めちゃくちゃあの勝ち誇ったような顔がウザいが」


「ふっ、私は立場上お嬢様とは常に顔を合わせるからな。

 好きな人の顔が毎回見れるとは実に気分がいいものだ」


「ケッ、自慢かよ」


「チッ、宗次ばっかりムカつくな。

 よし、悠馬! 俺達も少し遠出してしっぽり旅行くか!」


「いや、嫌だよ。てか、キモいな普通に」


 そう言う敬から逃れようと悠馬が肩組みから逃れようとするが、そうはさせじと敬も腕の力を強めて逃さないようにガッチリホールド。


 そんな男子同士の醜い嫉妬の光景を、宗次が愉悦しながら見ていると、話を聞いていた京華が大きく息を吐いた。


「ハァ~、んだよったく。てっきり、お前が『重大発表』とか言うから、まさか姫になんかあったかと思ったじゃねぇか。

 それがこんなくだらねぇことに放課後使って呼び出しやがって」


 やれやれと言った感じで京華が大きくため息を吐く。

 すると、さすがの発言に天子が少しだけムッとしたようで、


「京華ちゃん、ダメですよ! 人の幸せをそういう風に言っては。

 それに、宗次さんも頑張っていたんです。絶対にそんな風に言っちゃダメ」


「――っ!」


「そうだそうだ、腹切って詫びろぉ!」


「テメェを刺し殺した後ならやってやる」


 天子の指摘に便乗するように敬が指さして言えば、京華が憤慨した表情で言い返した。

 もはや今にも刃ではなく拳でもって飛び掛かりそうな勢いだったが、天子がいる手前かセーブ。


 もっとも、敬としてそれを見越しての行動なのだが、後が怖いのも確か。

 ともあれ、これ以上ない道化ムーブは出来ただろ。実際、道化だったし。

 そんなバカ二人をよそに、今度は那智と夕妃が口を開く。


「それにしても、実際意外だった気がするよ~。

 だって、ほらこの中じゃ一番......そのね?」


「そうね。最初に犬甘君と天子がくっつくと思ってたから」


 その瞬間、彼らしかいない教室の中に一瞬の静寂が訪れる。

 その夕妃の発言に対して、各々のメンバーの反応は様々だった。

 宗次はただ黙って腕を組みつつ、メガネの位置をスッと戻す。


 悠馬は「それもそうだな」と納得の反応を見せ、京華は意外にも少しだけ反応が穏やかだった。

 天子は顔を赤くして意識を背け、敬は変わらず表情こそ変わらないが、瞳は黒い。


 そんな各々の沈黙の理由に、夕妃が「何かやっちゃいました?」という表情を見せ、だからこそ遠回しに伝えようとしていた那智は「あ~」と諦めたように落胆する。


 そんな空気が1秒、2秒と経過した時、最初に空気を割いたのは敬だった。

 悠馬から腕を離すと、やれやれといった態度で敬が手振りをし、


「全く面白いことを言う。確かに、僕と天子は出会った頃からの仲さ。

 それこそ、ワックのハッピーセットと言っても過言ではない。

 逆に言えば、そう思わせるほど僕達の友情は素晴らしいものだった......違うかい?」


「友情......そうね、男女にも友情があると思った方が言い訳がしやすいものね。

 でも、厳密に断言するなら、そういうことはありえないと思うわ」


「ゆ、夕妃......?」


 敬の言葉に対し、夕妃がいつにも増して噛みついた。

 そんな夕妃の態度に、天子親衛隊の京華ですら違和感を抱く始末。

 その買い言葉を、さらに買い取った敬が言葉を続ける。


「ほぅ、人類の永遠の議題についてここで議論するというのか。

 ならば、照明して見せようか。僕と天子の不滅の友情という奴をさ」


「見せてみて。出来るものならね」


「僕達ならできらぁ。な、天子?」


「え、あ.......え、はぃ.......」


 突然、敬に同意を求められ、圧に押されるままに返事をする天子。

 そんな話を皮切りに、その日は解散することとなった。


*****


 その日の帰り道。

 京華、夕妃が並んで、一番大きい那智が後ろにつく形で歩く中、議題は自然と先の教室での最後のやり取りが挙げられた。

 その議題に最初に触れたのは那智だ。


「にしても、ユウユウはどうしてあんなことを言ったのさ~?

 なんというか、普段のユウユウってどっちかっていうとことなかれ主義みたいなところあるじゃん?」


「そうだな。どう見てもあれは普段通りの夕妃の姿じゃなかった。

 何がそこまでお前を突き動かすんだよ?」


 那智に続き、京華も同意するように意見を求めた。

 そんな二人による後ろと横の視線を浴びながら、夕妃は静かにため息を吐き、


「なんというか、天子が少し可哀そうに感じたからよ」


「......どういう意味~?」


「確かに、二人の仲は男女の友情が上手く調和したものとして見て取れる。

 だけど、本当にそれだけ? 少なくとも、私にはそうは見えない。

 犬甘君の強制力と、天子の控えめな性格が噛み合ってるから成立してる関係だと思うの」


「「......」」


「それに、京華だって心のどこかでは天子の変化に気付いていたから、私の発言に対して否定しなかったんでしょう?」


「それはまぁ......」


 夕妃がそう指摘した瞬間、京華は気まずそうに顔をそっぽ向けた。

 それから、首の後ろを擦りながら、渋々といった表情で答える。


「......あぁ、そうだよ。アタシが一番姫の変化を見てるんだ。わからないはずがない。

 それに、敬の奴は......これまでで一番天子のことを助けてんだ。

 そういう感情が抱くことは、正直正常だと思ってる。嫌だけどな!」


 最後に本音が漏れつつも、京華は概ね夕妃に同意しているようだ。

 だからこそ、それを正しく認識した那智がさらに突っ込んだ質問をする。


「それじゃ、二人をくっつけるってこと?」


「そこまでは言わないわ。それは当人達の問題だもの。

 でも、そう言ってるようなものよね。この考えって」


「まぁ、聞く限りはね~。はてさて、こんな意見ですが、今一番にワンコちゃんのことを想っているキョンキョンはどう思っているのかな?


 夕妃と那智が話を進めていく中、少しの間沈黙を貫いていた京華。

 そして、那智から話題を振られると、京華は頭を掻きながら仕方なさそうに答え始めた。


「さっきも言ったように嫌だよ。嫌に決まってる。

 姫は生涯清いままに、私の隣でしわしわになっても過ごすんだと思ってる!」


「また気が付けば長く生えてきたね、角が」


「そろそろ切除しないと他人に迷惑よね」


「だけど、アタシの意見で姫の人生が決まるようなことにはしたくない。

 姫の人生は、あくまで姫の選択によって決まるべきだ。

 だからこそ、アタシが望まないことでも、姫が決めたなら――アタシはそれを受け止める」


 辛そうな顔を必死に堪え、京華が自分の気持ちを吐露した。

 その内容を聞いた瞬間、夕妃と那智は互いの顔を見合わせる。

 即ち、京華が自らユニコーンの角を半分に折ったからだ。


 今までの京華からすれば、考えられない行動。

 これまで天子と関り、厄介ヲタク性質が浄化されたとでも言うべきか。

 いや、厄介が磨かれることはあっても、毒気は抜かれることは稀だろう。


 だとすれば、これは京華自身の成長という他あるまい。

 そんな京華の自らの角折り行動に、夕妃とと那智はしばらく優しくなろうと、決めた。

 それこそ、最初は――


「キョンキョン、ちょっとお腹空かない? 寄り道しようよ」


「いや、別にアタシはそんな気分じゃ......」


「京華、素直になりなよ。私も素直になるから。

 ちなみに、今日は新刊の発売日だから本屋も行ってくれると助かる」


「いや、それアタシじゃなくて那智に言えよ。

 じゃなくて、なんでアタシがついていく前提で話を進めてんだ!」


「「まぁまぁ」」


 夕妃と那智に両サイドからガッチリ肩を組まれ、ついでに京華の両腕も拘束された。

 まるで二人に拘束されたような状態で、二人の要望を叶えるために連行される。

 京華が望んでない寄り道にはたして優しさがあるのか――それは二人のみぞ知る。


****


 放課後に宗次に報告会があった帰り道。

 一人住宅街を歩く敬は、近くにある公園に向かっていた。


 すると、そこには二人組の男女がブランコでたむろしている。

 少女はブランコを遊具として漕ぎながら、少年はブランコの周りに柵に腰をかけながら。

 そんな二人のうち、敬は手前にいる少年――涼峰真昼へと声をかけた・。


「よぉ、悪いな。急に呼び出しちゃって」


「別に、これといって用事も無かったですから。

 それに、敬さんからの頼みとなれば話を聞きますよ」


「なによりも、私との蜜月の時を邪魔されたくないですしね」


「うおっ!?」


 敬が軽く手を挙げて真昼に声をかければ、途端に二人の間に割って入る一つの影。

 それは少女の形をしており、言わずもがな真昼の双子の姉である朝奈だ。

 もっとも、なぜここに朝奈がいるのかは疑問だが。なんたって――、


「なぁ、真昼が呼んだのか?」


「俺が呼ぶわけないじゃないですか。

 それに、その反応.....どうやら敬さんが呼んだわけでもなさそうですね。

 となれば、一体どうやって嗅ぎつけてきたのやら」


「私の前でお兄さんのニオイを漂わせておきながら、私が探り当てられないとでも?

 真昼、冗談も休み休み言った方がいいよ」


「おかしいな、メールでのやり取りだからニオイとか発生しないはずなんだが。

 もしかして、スト――」


「おっと、お兄さん。それ以上言おうものなら、その口を塞ぎますよ――マウストゥマウスで」


「実に勘弁願いたい。幸に後々詰められるのも嫌なんで」


 もっとも、幸から妹の友達に手を出したとかそういう詰められ方ではない。

 むしろ、積極的に妹の友達に手を出したことをなじりつつ、キスの感触の感想とか聞いてくる。


 我が妹ながら、幸とはそういう存在である。

 自分の生き方において面白そうと思えば、それを見ずにはいられない。

 ましてや、それが自分の兄であるのならば尚更だ。


 そんな敬の反応に、朝奈は不満そうに頬を膨らませる。

 普段何を考えてるかわからないフワフワとした顔をしているので、そういう仕草はありがたい。

 自分も相手の様子を伺わずに気持ちよく無視できるから。


「それで、俺を呼んだのはどういう用事で?」


「俺じゃなくて、俺達でしょ! 真昼!」


「真昼を呼んだのは少し情報収集をしたくてな」


「情報収集.....?」


 ナチュラルに無視する男二人に、朝奈はわかりやすく口を曲げ、ついでにへそも曲げた。

 それでも、その二人のそばから離れる気はないのか、真昼となりでスマホを触り始める。

 そんな彼女の様子を横目に見つつ、敬は話を続けた。


「あぁ、真昼は陰の要素をもちながら、交友関係は広いはずだ。

 それに、部活もやってるし、上との繋がりもあるかもと思ってね」


「まぁ、多少はありますけど」


「そこでだ。彼女を欲しがってる人間がいるかどうか教えて欲しい。

 それこそ、最近まで付き合ってて、別れたショックで飢えてる奴とか」


「いるにはいますけど......ロクな奴じゃないような。

 それに、それを知ってどうするんですか?

 いや、僕からはどうにもしないよ?

 ただ、事前にそういう人物の思考回路を知っておきたいだけんだ」


「そういうことなら、私が付き合ってた人達に話を聞いてこようか。

 女子であれば、そういった噂話も気持ちよくネタとして消化してくれるはずだからさ」


 二人の会話に割り込むように、朝奈が口を開いた。

 しかし、その発言は有用であったために、敬も返答する。


「いいね。なら、その情報もくれ。

 そろそろ知名度も上がってきたし、予防線は張っとかないとね」

読んでくださりありがとうございます。


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