一、竜騎士試験
「シュッ!シュッ!」
槍のキッサキが空をつんざく。
「ヒュッ!ヒュッ!」
汗まみれの若者の目が、輝いて見える。
腰に黒い帯をつけたその若者の名は、、、。
「シュバイク〜!」
その若者、シュバイクは振り返る。
「なんだ、やっぱりここにいたのか」
「おぉ、エンデか。槍の練習は毎日しないとなまるからなぁ。どうしたんだ?俺に用か?」
「あぁ、お前、魔王討伐の旅に出るって本当か?」
「あぁ、本当だよ。我が父を殺した憎き魔王を倒してやる!」
「おいおい、今までどんな猛者が挑んでも、魔王討伐に出たやつは、無惨な姿だぜ」
「いや、命は惜しくない。魔王の支配下でのうのうと生きるなら、死を選ぶ。俺は」
「やれやれ」
エンデは首を振ると、腰につけていた袋を手に取り、シュバイクに渡した。
「ここに200ゴールドと、薬草が入ってる。持ってけ」
そういうとエンデはツカツカと帰っていった。
「ありがとな!」
エンデの後ろ姿にシュバイクは呼びかけた。
シュバイクの生きる世界、「アナトリウム」は、自然豊かな星である。砂漠などはどこにもなく、森か、村か、海か、山か、といった風に、どこにも生き物が生息しているような恵まれた、そしてなにより、平和な星だった、、、。
だが
四年前に魔王ゾルゲスが、この星にやってきた時から、この世界は一変してしまった。
周りは魔物だらけ、一歩村を出れば、怪力ウルフが襲ってくる始末。
この世は力のないものにとっては地獄になってしまった。
人々は、救世主を求めていた。
「チュンチュン」
小鳥がさえずる。
「あー、よく寝た。」
シュバイクは目が覚めた。
前日の槍の自己練習は、8時間にもわたっていた。
「明日は竜騎士試験だな。」
明日はゾルゲスを倒す精鋭を育てるための、竜騎士試験が、バイタル村の隣町、ジャンピング街というところで、開催される。
「シュッ!シュッ!」
また、シュバイクは、槍を振るう。
魔王の打倒に力を込めて。
翌日、、、。
「よし!行くぞ!」
シュバイクは、ジャンピング街に向かって歩き出した。
(この試験に合格したら、魔王討伐の旅に出ると決めたんだ!)
そう心に言いながら、ツカツカと歩き出す。
(ここか、、、。)
ジャンピング街は、高いレンガ造りの建物がひしめく、交易都市だ。
果物や野菜が売っている露店が並ぶ。
ジャンピング街の真ん中にある高い鉄筋の建物が、試験会場、ダーラナ・ビルディングである。シュバイクも試験開始30分前にその建物に着いた。
「ここが、、、。本当に芸術的な立派な建物だ」
シュバイクはつぶやく。
ダーラナ・ビルディングは、地上30階建てのビルだ。
シュバイクは、試験資格用紙の会場の欄を見た。
(会場:16階)
そう、用紙には書かれていた。
建物の入り口には、ものものしい狂鳥類のモンスターの銅像が左右に立っていた。
シュバイクは、黙ってダーラナ・ビルディングに入っていった。
エントランスには槍を持った猛者たちが、ひしめき合っていた。
今日の1時間のペーパーテストと、30分の必殺技の実技で合否は決まる。
(少し緊張するなぁ)
滅多に緊張などしないシュバイクが、この時ばかりは胸が激しく高鳴ります。
「はじめ!」
そうこうしているうちにペーパーテストが始まりました。
(やばい。分からん問題結構ある、、、。)
シュバイクは焦り気味です。
そしてあっという間に1時間経過しました。
実技の会場に移動すると、そこは屋上でした。
試験官はいいます。
「君たちのジャンプ力と着地力を試したいので、ここからジャンプして、地面まで落ちて見事着地してもらいたい。」
次から次へと、屋上からみな、飛び降りてゆきます。
さすが竜騎士試験に臨む猛者だけはあり、竜騎士に欠かせない技、「ジャンプ」を習得している者がほとんどです。
みんな見事着地してゆきます。
そんな中シュバイクは、もっとも高く飛び、もっとも安定して着地しました。
(自分でも驚くほど実技は上手くいったなぁ)
そう思いました。
全員が下まで降りると、試験官も、下にエレベーターで下がってきました。
「皆さんお見事。さすが竜騎士試験に臨む人たちです。」
試験官は何やら紙を取り出すと、呟きながら記入し始めました。(6番25、8番34)
その数字の意味はわからなかったのですが、何やら成績をつけているようでした。
竜騎士試験が終わると、シュバイクは、ダーラナ・ビルディングの係員に「これからどうしたらいいですか?」
とたずねた。
「もうお帰りいただいて結構です。後日合否を葉書にてお知らせします」
との答えが返ってきた。
シュバイクはツカツカとバイタル村の自宅へ帰って行った。
チュン。チュン。(小鳥のさえずり)
3日後、、、。
「カラン」
シュバイクの自宅のポストに、投函の音がした。
(そろそろ合否のハガキがきたかな?)
果たしてそのハガキだった。
〜竜騎士試験委員会〜
貴殿ペーパー60点、実技99点。
「合格」
「よし!」
シュバイクは軽く叫んだ。
(これで魔王ゾルゲス討伐の、下準備ができた!)
心で歓喜しながらこれまでの血の滲むような修行の越し方を思い浮かべていた、、、。
(明日は、いよいよ、仲間探しの旅に出よう)
一、竜騎士試験、終わり




