第9話 入るクラスは1ーA
「へぇ、これがエトワール魔法学校の制服なんだね」
「よく似合ってますよ、アリスさん」
無事入学手続きを完了し、制服が届いた。
どうもこの学校の制服は着た人に合わせてサイズが変わると言う魔法の布で作られているみたいだ。
それに、水色のブレザーっぽい感じかつ赤いリボンタイの付いたブラウスとフリルの付いた水色のプリーツスカートが可愛い。
着用してすぐにクルクルと回ってみる。
スカートがひらりと翻るが、今は気にしない。
傍で見ていたファナも似合っていると言ってくれたし、これからの学校生活に気合が入る。
ファナは、クレス校長がボクの住む寮の前にくるまでにこっちに訪れて、制服の確認をしてくれたのだ。
「教材はお父様が持って来てくださいます。 お手洗いを済ませてから出ましょうか」
「そうだね。 行ってくるよ」
そろそろ時間なのだが、ファナの言うように先にトイレを済ませておく。
自室の中にトイレがあるのは便利だなぁ。
不意に【ワルジール魔法学校】で教室からトイレが遠くて何度か漏らしそうになった事を思い出しちゃうくらいにね。
「お待たせ」
「では、行きましょうか。 丁度お父様も来たようですし」
トイレを済ませたボクはファナと一緒に部屋を出た。
寮の入り口でクレス校長が教材を持って待っていた。
「やぁ、今日までよく休めたかな?」
「はい。 と言っても昨日のあのレアミドルボアの焼死体の価格で色々ビックリしましたが」
「ああ、だが君はそれだけの事をしたんだ。 あの時の君が言う通りに買い取り価格の半分は学費に回しておいたよ」
「お手数おかけします」
ちなみに昨日、レアミドルボアの焼死体の結果が出て、買取価格が何と10万ガルドだったようだ。
程よい焼け具合が高く評価されたのだとか……。
そのため、5万ガルドを学費に回し、後はボクの口座に入った。
口座は生徒手帳内に記載されており、学校内でのみ生徒手帳を提示すれば受付が指定したお金を渡してくれるようだ。
なお、学費は寮の費用を含めて一年で25万ガルドらしい。
あの【ワルジール魔法学校】では一年で10万ガルドだったから、かなり高い部類だ。
なので、ボクはこの学校の制度を利用して自主鍛練時の時に学費を支払う為にダンジョンに入り、素材を集めないといけない。
二人以上でダンジョンに潜る事が条件になるが。
ファナに頼もうかな?
「では、これが教材だ。 君が入るクラスはファナのいる1ーAだ。 担任にも話を通してあるから問題はない」
「校長先生、フットワーク軽くないですか?」
「それがお父様たる所以ですから、気にしては負けです」
「ファナ、何気に酷くないか?」
「あはは……」
クレス校長のフットワークの軽さに対し、ファナが気にしたら負けだと言った事にボクは苦笑いした。
確かにファナのいるクラスにして貰ったのはありがたいけどね。
そうしている内に教室に近づいてきた。
そこに一人の男性が待っていた。 担任かな?
「お、来たな。 校長先生、彼女が?」
「そうだ。 アリス・パリカール君だ」
「アリス・パリカールです」
「私は1ーAの担任のトッシュ・ファルコンだ。 よろしく頼む。 分からないことがあったら遠慮なく聞いてくれ」
「はい!」
トッシュ先生か。
爽やかないい人だという印象だなぁ。
「じゃあ、ファナは後ろから教室に入ってくれ。 アリスは少しだけここで待ってくれ」
そう言いながら、先にファナとトッシュ先生が教室に入る。
多分、新たに入る生徒が来るという報告をするんだろう。
なんか盛り上がってるなぁ。
「よし、入ってくれ」
「はい!」
クレス校長に見送られながら、ボクは教室にゆっくり入っていく。
雰囲気的に歓迎されてる感じだった中で、ボクはみんに自己紹介をしたのだった。
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