第25話 ミルト君の状態
「おはよ、ミルト君」
「お、おはようございます」
翌朝、ボクは一つのベッドで一緒に寝ているミルト君に声を掛けた。
顔を赤らめて俯いている様子が何だか可愛いよね。
昨日、彼の生活用品を購入して、ボクが今住んでいる現在は小さな一軒家みたいになっている寮に一緒に住まわせた。
その夜、一緒に風呂に入った時には彼の背中に痣があるのが判明し、食事の時は売店のパンを泣きながら食べ、その後は疲労で先にベッドで寝たのだが、ボクが髪を梳かしている時に突然苦しみだしたので、抱きしめて落ち着かせた。
どうやら追放された時の事が悪夢となって甦ってしまうらしいので、添い寝しようと考えた。
流石に年下とはいえ、お年頃だからか拒否しようとしたが、ボクはこのままだと悪夢に魘されて眠れなくなると優しく説得し、納得してもらった。
そして、ボクを抱き枕にしたまま朝まで寝た筈だ。
多分ね。
「よく眠れたかな?」
「はい。 その……アリスさんの温もりのおかげで嫌な夢は見なかったです」
「うんうん。 それなら良かったよ」
聞いた限り、ミルト君はボクの温もりのおかげで眠れたみたいで少し安心した。
「さて、制服も届いてるみたいだし、着替えようか」
「は、はい」
ミルト君は寝ている間に届いていた制服を持って風呂場に移動した。
流石に異性の前で着替えるのは躊躇ってしまうだろうね。
一般的にはそれが正常な反応なんだろうけど。
ボクも透けたネグリジェから制服に着替える。
「着替え終わった?」
「はい」
「じゃ、まずは校舎内の受付まで行こう。 そこで副担任と合流するから」
ボクはそう言いながら、ミルト君の手を繋いで一緒に校舎内の受付へと向かう。
相変わらず顔は赤らめているが、少しだけ笑顔だったみたい。
安心しているんだろうね。
「あ、ミルト君とアリスさん、おはようございます」
「おはよう、アリス君。 ミルト君はどうだったかな?」
「それは後で話します。 で、副担任は?」
「もうすぐ来るはずだ。 トッシュ先生と一緒にな」
校舎内の受付には、ファナやクレス校長が先に待機していた。
今日の1-Aの授業は昼の実技授業のみで、今回は魔法が封じられた場合に備えての物理攻撃の訓練を行うらしい。
その間に、副担任にミルト君の魔法のお披露目と一部授業の単位を修得してもらう算段だ。
「すまない、待たせた。 全く遅くまで魔道具の研究なんかしてるからだ」
「ふぁぁ、すまないねぇ……」
そしてすぐにトッシュ先生に抱えられながら副担任の女性が来たようだ。
かなり眠たそうだが、遅くまで魔道具の研究をしていたのが原因なのか……。
確かに白衣の下にブレザーっぽい感じの紺のブラウスに紺のスカートを着用しているから、魔道具の研究者っぽい感じだし。
「さて、君がミルト君だね? 私は1-Aの副担任のラビリスタ・ファーレンスさ。 気軽にラビと呼んでいい」
「あ、ミルト・ファガーソンです。 よろしくお願いします」
まぁ、流石にミルト君は初対面の人には特にオドオドするのは仕方がない。
特に大人のラビ先生に対してもこれだから、かつての両親に酷い目に遭わされたんだろうね。
「おっと、そっちの子はアリスさんだね?」
「あ、はい。 アリス・パリカールです。 現在はミルト君のルームメイトでもあります」
「そう言った事情は校長から聞いてるさ。 彼の特別授業に入る前に同室の君から見た彼の状態を知りたい。 あそこまでオドオドしている辺り追放される時に何が起こったのか……」
「そうだな。 まだ時間はあるし、校長室で話そうか」
「分かりました。 ミルト君、行こう」
「うん……」
ここまでオドオドしているミルト君の様子は、ラビ先生も気になったようでいい加減話したほうがいいかも知れない。
クレス校長の言うように、校長室で昨晩で分かった範囲内で話すことにした。
しかし、あの状態を……体中に痣が出来ていたという事も話さないとダメだよね。
解決策はあるんだろうか?
よろしければ、広告の下の評価(【☆☆☆☆☆】のところ)に星を付けるか、ブックマークをお願いします。
作者のモチベーションの維持に繋がります。




